世界の諸言語の中で,日本語の文字・表記は最も複雑だと言われています。使っている文字も,平仮名,片仮名,漢字と3種類を駆使しているのは,日本語だけです。このことは,和語には平仮名,漢語には漢字,外来語には片仮名のように,文字表記表現としての豊かさを示しているとともに,漢字の異体字や,送り仮名・仮名遣いなどの使い分けの原因ともなっており,学習や実務での不合理さとして言及されています。本フォーラムでは,印刷,放送,心理学,国語教育,日本語教育の専門家を迎えて,日本語文字・表記の難しさとおもしろさ,将来の展望について考えます。
平成23年9月11日(日),一橋記念講堂(東京都千代田区)において,第4回NINJALフォーラムを開催しました。NINJALフォーラムはことばに関する研究成果を広く一般にも発信し,社会連携・社会貢献に資することを目的としており,第4回は,「日本語文字・表記の難しさとおもしろさ」をテーマとし,約400名の一般参加者を迎えました。
当日は,京都大学の阿辻哲次教授による基調講演「漢字とどうつきあうか」をはじめ,新潮社・小駒勝美副参事,NHK放送文化研究所・柴田実専門研究員,奈良教育大学・棚橋尚子教授,國學院大學・シュテファン カイザー教授,本研究所・横山詔一教授の各報告の後,それらを踏まえた質疑応答・討論を行いました。
大学共同利用機関法人人間文化研究機構に加わってから3年目を迎える国立国語研究所は,日本語および日本語教育の研究拠点として,国内外の研究者と多彩な共同研究プロジェクトを全国的・国際的レベルで展開し,研究成果を様々なタイプの催しや刊行物を通して幅広く発信しています。なかでも,「NINJALフォーラム」と称する一般向けの公開講演会は,外部の研究者も交えてコトバに関する様々な問題を論じる場を提供し,その内容は「NINJALフォーラムシリーズ」として冊子体とオンラインの電子媒体でお伝えしています。
ここに刊行するのは,去る2011年9月11日に一橋記念講堂(東京都千代田区,学術総合センター)において開催された第4回NINJALフォーラム「日本語文字・表記の難しさとおもしろさ」の発表要旨です。このフォーラムでは,かねてより要望の多かった「漢字」を中心に文字表記について取り上げ,各方面の著名な先生方の講演と,400名近くの聴衆との活発な質疑応答を通して漢字の使用・表示・理解・学習・教育などにおける問題点を浮き彫りにしました。このフォーラムについてもいずれ冊子を作成しますが,それに先立ち,ここに電子媒体でご紹介します。世界一複雑と言われる日本語の文字表記(特に漢字)の諸問題について,みなさまのご理解を深める一助となれば幸いです。
国立国語研究所長
影山 太郎
国立国語研究所 管理部研究推進課
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