「通時コーパスの設計」 (略称:通時コーパス)
近藤泰弘(言語資源研究系・客員教授)
平成23年9月16日(金) 13:00~16:30
国立国語研究所 2F 多目的室
本発表では,発表者の専門領域である近世語研究分野における用例収集の現状や,発表者自身の用例検索方法,検索精度などについて報告するとともに,現在開発中の通時コーパスの長所を生かした活用例を考えたい。具体的には,動詞否定形式「~ハセヌ」類における上接動詞の通時的なあり方を例に,用例検索時の簡便さについて述べる。さらに現時点における古典語通時コーパスの使用感などを報告した上で,今後の改善点などを提案する。
古典コーパスを用いることにより,〈名詞句+副助詞〉がどのような格成分として機能しているのか,その実態を明らかにしたい。これまでの副助詞研究は,個々の副助詞の意味記述,文法化現象(名詞の副助詞化),格助詞や係助詞との承接,とりたての範囲などの観点から研究されているが,〈名詞句+副助詞〉がどのような格成分として使用されているのかという観点からの研究はない。この実態を明らかにすることは,副助詞研究のみならず,古典語における無助詞名詞句の役割を考える上にも役立つものと考える。
現在試行版として作成している通時コーパスは,現代語コーパスであるBCCWJとほぼ同じマークアップを採用している。しかし,古典語研究の対象としてのコーパスには現代語と異なった部分があるはずである。いくつかのケーススタディによって,古典語コーパスの設計について考えてみる。