現代語における語彙化現象,とくに,統語的な語連続(句)が一語化(univerbation)する現象に注目し,それらが生起する様相を共時・通時の両面にわたって動的に把握することをめざす。一語化は,一つのテクスト内でも起こる共時的な現象であると同時に,統語的単位が語彙的単位に変容していく通時的な現象でもある。発表では,20年分の新聞コーパスを用いて,共時的一語化と通時的一語化との関係を探り,両者を動的・立体的に把握することを試みる。
動詞ヒモトクには,〈書物を読む〉という意味の伝統用法に加えて,〈分析・解明する〉という意味の新用法が急速に普及しつつある。「ヒモ(を)トク」からの意味拡張のプロセスは,伝統用法がメトニミーに基づくのに対して,新用法はメタファーに基づくものと考えられる。新用法の成立は伝統用法とどのような関係にあるのか,『現代日本語書き言葉均衡コーパス』の用例分析に基づき,話者の使用意識調査も援用しながら多角的に解明する方法を考える。