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「海外に移出した仮名写本の緊急調査」,「訓点資料の構造化記述」合同研究発表会概要

プロジェクト名

  • 1) 人間文化研究連携共同推進事業 外に移出した仮名写本の緊急調査
  • 2) 国立国語研究所共同研究プロジェクト 訓点資料の構造化記述

両プロジェクトの合同研究発表会

リーダー名
高田 智和 (所属:理論・構造研究系・職:准教授)
開催日時
平成23年9月13日(火) 14:00~17:00
開催場所
専修大学神田校舎

発表者氏名・発表テーマと概要

高田智和(国立国語研究所)・森安辰(東京農工大学工学府)
米国議会図書館蔵『源氏物語』翻字本文(桐壺から藤裏葉まで)の公表」

アメリカ合衆国議会図書館アジア部日本課が所蔵する『源氏物語』写本を,2010年1月,2011年1月の2回にわたって原本調査をし,これに基づいて本文の翻刻を行った。2011年3月の翻刻本文の公表では,所蔵者の協力を得て,Web公開(http://www.ninjal.ac.jp/LCgenji/,試験公開)を行った。試験公開サイトでは文字列検索機能を提供している。

また,第一部のテキストデータを対象に基礎計量を行った。第一部の総文字数は39万4576文字で,巻あたりの平均文字数は11956.8文字であった。半丁ごとの行数はほとんどの巻において9行か10行であった。第一部全体における漢字含有率の平均は0.100であった。文字数1万字までの巻において,漢字含有率と文字数の相関を調べたところ,強い相関(相関係数0.82)がみられた。このことから,写本で漢字含有率を調べる場合,一万字以下では結果が安定しない可能性があるという仮説をたてた。半丁ごとの文字数の遷移を調べたところ,文字数はグラフ上で波打つように変化していた.

伊藤鉄也(国文学研究資料館)
「源氏物語本文研究のためのデータベース」

国文学研究資料館では,源氏物語本文研究のために,諸本のデータベース化に取り組んでいる。データベース開発の現状と,本文研究での活用を目指した今後の構想を述べた。

斎藤達哉(専修大学)
「仮名写本における文字・表記の諸相―米国議会図書館本源氏物語を例として―」

米国議会図書館蔵の源氏物語写本(桐壺~藤裏葉)を資料として,その文字・表記の在り方について検討を行った。具体的には,次の2点について統計データを基に考察を行った。

(1)米国議会図書館本では,一度書いた文字を擦り消して修正した例が多く見られる。このうち,「う」を擦り消して「そ」に改めた箇所は,両者が似た形の文字であったために誤写が生じ,それを修正したもので,単なる誤写の修正でしかない。しかし,「八」を擦り消して「は」に改めた箇所は,どのように理解したらよいのであろうか。こうした事例について,誤読誤写を避けるための表記であるという解釈が可能かどうかの検討を行った。

(2)米国議会図書館本では,ハの仮名として最も多いのは,異体仮名「八」である。異体仮名「八」がハの仮名全体に占める割合は,巻によって異なっている。異体仮名「八」の割合と,巻の1行平均文字数,巻のる総行数,巻の総文字数それぞれとの相関の有無を検討した。

以上