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「通時コーパスの設計」研究発表会発表内容の「概要」

プロジェクト名

通時コーパスの設計 (略称 通時コーパス)

リーダー名

近藤泰弘(言語資源研究系・客員教授)

開催期日

平成23年9月16日(金) 13:00~16:30

開催場所

国立国語研究所・多目的室

発表者氏名・発表テーマと概要

村上謙(埼玉大学教育学部・准教授):
「『手作業』による用例検索を専らとする一研究者が通時コーパスを使ってみる ―動詞否定形式「~ハセヌ」類における上接動詞の通時的なあり方を例に―」

本発表では,近世語研究における資料整備や用例収集の現状などについて報告するとともに,現在開発中の通時コーパスの長所を生かした活用例を考えた。具体的には,動詞否定形式「~ハセヌ」類における上接動詞の通時的なあり方を例に,アルなどの状態性の強い動詞群との承接制限の有無などについて,通時コーパスを用いて検討した。さらに現時点におけるコーパスの使用感などを報告し,実用に向けての改善点などを提案,協議した。

山田昌裕(恵泉女学園大学准教授):
「古典語に見られる〈名詞句+副助詞〉の格」

古典語コーパスを用いることにより,平安期における,格表示を受けない〈名詞句+副助詞(ノミ,サヘ,ダニ,バカリ)〉がどのような格成分として機能しているのか,その実態を明らかにした。ノミ,サヘ,ダニは85~95%がガ格,5~7%がヲ格であり,バカリは67%がガ格,33%がヲ格であった。この結果は,格表示を受けない無助詞名詞句の振る舞いと比較することによって,古典語研究に成果をもたらすものと考えられる。古典語研究の発展のために,無助詞名詞句をいかに検索できるようにするか,通時コーパスの一つの課題として意見を出し合った。

近藤泰弘(国立国語研究所言語資源研究系・客員教授):
「通時コーパスの利用法と設計」

通時コーパスプロジェクトの目的とそれを達成するためのコーパスの形式について述べた。まず第一に,プロジェクトが,各時代別の古典語(前近代語)のコーパスを作成するためのものであることを述べ,次に,それらをコンピュータ技術によって,通時的に観察するためのインターフェースを構築することにあることを述べた。

また,そのために,コーパスの基本設計を,その両者に適応できるようにすべきことを主張した。具体的に2つの例を挙げた。一つはコーパスの文字セットの問題,もう一つは,コーパスのマークアップの問題であり,特に後者については,統語論的マークアップの必要性を述べ,節境界のタグだけでも効果があるのではないかということについて報告した。