首都圏の言語の実態と動向に関する研究
飛田良文氏が1994-1999年に学生と共に行った首都圏における「東京語調査」の概要について述べ,その中から山手線の沿線31地点・約220人におけるデータをとりあげて地点×世代のグロットグラムを作成し,分析結果を報告した。この調査はこれまで取り上げられる機会の少なかった首都圏における地域差と年代差を追究した貴重な近年のデータであることを指摘しつつ,日本の方言研究における東京方言・共通語の位置づけについて考察した。
私が東京語の調査をはじめてから,かれこれ50年になります。処女論文が「東京語の連母音『アウ』の成立」(1961・昭36)でした。東京語の時代区分を成立期・確立期・転成期と考え,成立期は『東京語成立史の研究』(1992・平4)でまとめました。確立期は国語研究所の『国定読本用語総覧』(1985・昭60)がその成果であり,戦後の転成期が実践女子短期大学生と共同で行ったJR山手線・中央線・青梅線沿線の三世代調査です。
これらの調査を通して気付いた問題点を,
「首都圏の言語」をめぐっては,多様で重層的な対象のどの面に関心を向けるかによって,相互に関連しながら中心概念の異なる,多くの用語が用いられてきている。地理的な東京方言研究と歴史的な東京語研究の橋渡しを考える立場から,「首都圏の言語」をめぐる概念と用語を手かがりに議論を深めた。