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方言の形成過程解明のための全国方言調査

略称方言分布
プロジェクトリーダー大西 拓一郎(おおにし たくいちろう)
国立国語研究所 時空間変異研究系教授
研究分野日本語学・方言学
キーワード言語地理学,方言分布,分布の形成,方言周圏論

概要

本研究は,日本語の方言分布がどのようにしてできたのかを明らかにすることを目的に,全国の方言研究者が共同でデータを収集・共有しながら進めるものである。日本の方言学においては,言語の地域差を詳細に調査し地図に描く言語地理学的手法に基づく研究を50年以上前から本格的に開始した。国立国語研究所が『日本言語地図』『方言文法全国地図』という全国地図を刊行する一方,大学の研究室を中心に地域を対象とした詳細な地図が数多く作成されてきた。そこで把握される方言の分布を説明する基本原理は,中心から分布が広がると考える「方言周圏論」である。問題はその原理の検証が十分に行われてこなかった点にある。幸いにして日本には長期にわたる方言分布研究の蓄積があり,現在の分布を明らかにすることで時間を隔てた分布の変化が解明できると考えられる。具体データをもとに方言とその分布の変化の解明に挑戦する,世界にも例のないダイナミックな研究を目指す。

共同研究者(所属)

新井小枝子(群馬県立女子大学),今村かほる(弘前学院大学),岩城裕之(呉工業高等専門学校),上野智子(高知大学),太田有多子(椙山女学園大学),大橋純一(秋田大学),沖裕子(信州大学),加藤和夫(金沢大学),金田章宏(千葉大学),亀田裕見(文教大学),狩俣繁久(琉球大学),木川行央(神田外語大学大学院),岸江信介(徳島大学大学院),小西いずみ(広島大学大学院),小林隆(東北大学大学院),坂口至(熊本大学),佐藤髙司(共愛学園前橋国際大学),渋谷勝己(大阪大学大学院),下地理則(群馬県立女子大学),杉村孝夫(福岡教育大学),高木千恵(大阪大学大学院),高橋顕志(群馬県立女子大学),武田拓(仙台高等専門学校),田中宣廣(岩手県立大学 宮古短期大学部),田中ゆかり(日本大学),都染直也(甲南大学),友定賢治(県立広島大学),中井精一(富山大学),中東靖恵(岡山大学大学院),仲原穣(琉球大学),二階堂整(福岡女学院大学),西村浩子(松山東雲女子大学),灰谷謙二(尾道大学),半沢康(福島大学),日高貢一郎(大分大学),日高水穂(関西大学),福嶋秩子(新潟県立大学),舩木礼子(神戸女子大学),松丸真大(滋賀大学),村上敬一(神戸松蔭女子学院大学),山田敏弘(岐阜大学),鑓水兼貴(専修大学),吉田雅子(実践女子大学),朝日祥之(国立国語研究所),竹田晃子(国立国語研究所),三井はるみ(国立国語研究所)

研究目的

方言の形成過程を明らかにすることを目的に全国方言のデータを収集する調査・研究を実施する。研究は全国の方言研究者とデータの共有化をともなう共同研究体制で行う。

方言の形成過程の解明には以下の観点からのアプローチが求められる。

(a)言語変化と地理空間の相関把握と分析―特に分布の経年比較
(b)地理空間が有する地域特性と言語の関係の解明
(c)これまで知られていなかった分布の解明・発見

(a)では,言語変化と地理空間の関係を現在の分布として把握するとともに,過去に明らかにされた分布との間の経年的比較が重要な観点となる。従来から分布の通時的説明理論として重要な位置付けを有してきた「方言周圏論」「隣接分布の原則」の検証は,本研究の重要課題である。(b)は,地理空間を軸に社会・交通・自然などの地域特性との関係で言語変異のありかたを解明する。(c)は一見付随的ながら,仮説検証型の(a)(b)とは異なる成果が期待されるもので,ここから得られる分布情報は,文化財的性質を伴うとともに将来の分布調査への重要な手がかりともなる。

研究計画・方法

準備調査(2009年度)

研究目的・仮説(経年比較・言語内外情報の照合・未知分布)に対応した調査項目を選定することが求められるが,既に公刊されている約30,000枚の言語地図のデータベースをもとに400項目までの絞り込みを行い,主要メンバー等とともに全国約40地点での準備調査とその結果の整理を行った。

事前研究(2009年度)

共同研究者の中でWGを構成し,準備調査の結果をもとにした本調査項目の選定作業,本調査のための方法の検討を行った。

調査基盤構築(2010年度)

WGによる検討を受けて,共同研究者間での討議に基づく本調査項目の決定,調査・報告・データベース化などの方法を細かく定めたマニュアルの作成を行った。

また,本調査を実施するにあたっては全国を都道府県基盤の地域ブロックに分け,それぞれの地域担当者を決め,本調査の地点を計画した。

調査実施(2010年度から)

調査地点数を各年度に割り振り,調査を実施・継続する。調査の実施にあたっては,年度初頭に調査担当者向けの講習会を開催することを検討する。

なお,東日本大震災にともない,計画した地域での調査・研究が遂行可能かどうか,随時検討するものとする。

データベース化

(2011年度から)

調査結果は,速やかにデータベース化し,共同研究者間で情報が共有されるようにする。研究終了後は,全データを公開する。

分析・研究(2010年度から)

研究目的・仮説をベースにしながら分析を行う。特に分布の分析にあたっては,地理情報システム(GIS)の活用が不可欠であることから,GIS利用のための講習会も開催する。分析・研究成果は,各種研究集会や国内外の学会で積極的に発表するとともに,諸学会誌・機関誌・専門誌等での論文化を進める。

シンポジウム・フォーラム等(2010年度から)

研究者向けのシンポジウム等を開催するとともに,一般向けのフォーラムも検討する。また,ニューズレターの刊行も検討する。

研究成果

共同研究員(仲原穣氏(琉球大学))が第33回沖縄文化協会賞「仲原善忠賞」を受賞しました。

共同研究発表会

開催日時 開催場所 開催案内 開催概要
平成23年12月17日(13:00-16:00) 大阪大学豊中キャンパス
平成23年7月17日(15:30-16:00) 国立国語研究所
平成22年12月19日(17:00-19:00) 国立国語研究所
平成22年 3月23日(14:00-17:00) 国立国語研究所