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接触方言学による「言語変容類型論」の構築

略称接触方言
プロジェクトリーダー朝日 祥之(あさひ よしゆき)
(国立国語研究所 時空間変異研究系 准教授)
研究分野社会言語学
キーワード言語変容,接触方言学,変異理論

概要

日本には,方言が数多く存在すると言われます。これまで,旧来の地域社会に根付いてきた方言が研究されてきました。それに対し,大阪や東京に代表される都市社会やニュータウン,北海道などの地域には,様々な地域からの人たちが居住しています。その多様化する社会では,旧来の地域社会とは異なる現象が観察されます。この地域での言語使用状況を明らかにするアプローチとして「接触方言学」を掲げます。

接触によって生じる現象は,さまざまに分類することが可能です。その分類を行うにあたって,社会構造(例:都市社会,農村社会等)に着目します。その構造との関係を探るものが,「言語変容類型論」が目指すところです。一般に,言葉の接触が多い地域であるほど,言葉の仕組みが単純になるのに対し,言葉の接触が少ない地域であるほど,言葉の仕組みが複雑になると言われています。日本各地における言語状況から,これらの問題に迫っていきます。

このアプローチは,英語圏の方言接触研究で模索されているものです。本プロジェクトを通して,より普遍性の高いアプローチを構築することが最大の目標です。

共同研究者(所属)

Peter Trudgill (University of Agder),Paul Kerswill (Lancaster University),Jeff Siegel (University of New England),Andrej Malchukov (Max Plank Institute),ダニエル・ロング(首都大学東京),太田一郎(鹿児島大学),二階堂整(福岡女学院大学),片岡邦好(愛知大学), 高野照司(北星学園大学),平本美恵(シンガポール大学),尾崎喜光(ノートルダム清心女子大学),白岩広行(大阪大学),梶野早希子(ジョージタウン大学),松田謙次郎(神戸松蔭女子学院大学),見野久幸(北海道方言研究会),ティモシーバンス(国立国語研究所)

研究目的

本プロジェクトは,接触方言学による「言語変容類型論」の構築を行うことを目的とする。例えば,提案者がこれまでの研究で対象となったフィールドの社会構成,言語変容の形は,次にまとめられる。

上に示したように,言語変容の形は,社会構成の特性によって異なると考える。方言接触によって観察される言語変容は一律ではないのである。一方,このような社会は,従来の方言学・都市方言学ではほとんど扱われることがなかった。本プロジェクトでは,方言接触によって生じる具体的な事象から,言語変容の類型を行い,多様化が進む現代社会の社会言語学的状況をより的確に捉えるアプローチを確立することが最終的な目的である。

その手掛かりとして,流動性,社会ネットワークなどによって,言語変容の分類が可能であるという,Peter Trudgillが提案している「言語変容類型論」が挙げられる。この他に言語類型論。接触言語学にも関連する知見がある。本プロジェクトでは,これらの知見を出発点とし,調査研究を通して,より普遍性の高い類型を構築したい。本プロジェクトは,言語変容の社会的側面を中・長期的にわたって調査研究をする必要があるものである。その出発点として本プロジェクトを位置づける。将来的には,時空間変異研究系の基幹研究プロジェクトの一つになるようにしたい。

研究計画・方法

本プロジェクトは三年度の研究期間を設定する。本プロジェクトは6つの班で構成する。
それぞれの班の内容,メンバーは以下の通り。

総括班

プロジェクト全体の総括,研究計画の把握
担当:朝日

ハワイ班

ハワイ大学所蔵のオーラルヒストリーデータを活用した言語変容の類型に関する調査研究
担当:バンス,平本,ロング,朝日

北海道班

札幌,釧路,富良野における言語変容の類型に関する調査研究
担当:高野,尾崎,朝日

地方都市班

地方都市(鹿児島市,,福岡,岡崎市)における言語変容の類型に関する調査研究
担当:太田,二階堂,片岡

ニュータウン班

移民社会(西神ニュータウン,Milton Keynes)における言語変容の類型に関する調査研究
担当:朝日, Kerswill

孤立社会班

孤立したコミュニティ(秋山郷,奈良田)における言語変容の類型に関する調査研究
担当:朝日

理論構築班

社会言語学,接触言語学,言語類型論における研究動向から,関連する情報の収集を行った上で,理論構築の整備を行う。
担当:朝日,Malchukov, Trudgill, Kerswill, Siegel

本プロジェクトの計画は以下の通り。

  • 平成23年度:
    研究会,講演会の実施,フィールドワークの実施。国内外での学会での口頭発表,論文投稿
  • 平成24年度:
    研究会,講演会の実施,フィールドワークの実施。国内外での学会での口頭発表,論文投稿,研究成果の公表(国内,または海外の出版社による)

共同研究発表会

開催日時 開催場所 開催案内 開催概要
平成24年4月7日(15:00-17:00) 国立国語研究所
平成24年3月19日(15:00-17:00) 国立国語研究所
平成23年12月9日(14:00-18:00)
平成23年12月10日(10:00-13:00)
国立国語研究所
平成23年9月2日(13:00-17:00) 国立国語研究所
平成22年12月11日(13:00-18:00) 福岡女学院大学 天神サテライト
平成22年 9月20日(10:00-12:00) 国立国語研究所
平成22年 8月 2日(14:00-17:00) 北星学園大学
平成22年 1月 5日(14:00-18:00) 国立国語研究所