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首都圏の言語の実態と動向に関する研究

略称首都圏言語
プロジェクトリーダー三井はるみ
(理論・構造研究系 助教)
研究分野日本語学
キーワード地域言語研究,言語構造,言語意識,社会,地理

概要

東京首都圏の言語は,次の2点で,日本の他の地域の言語と異なる社会的位置づけを有する。

(1) 標準日本語の基盤であること。 (2) この地域で生じた新たな言語現象は,ほどなく全国に波及すること。

一方地域方言としては,次のような大都市特有の状況に置かれている。

(3) 伝統的地域方言が保持される社会的基盤がきわめて脆弱なこと。 (4) 日常的に,言語的多様性にさらされる状況にあること。 (5) 言語規範の異なる多数の社会的サブグループが存在すること。

以上の特質を踏まえて,東京首都圏の言語状況を多面的に把握し,この地域の言語を対象とした総合的な研究の基盤を築くことを目的とする。

なお本研究における「首都圏」とは,東京を中心とする日常的な言語接触が生じうる都市圏を想定しており,おおむね,東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の1都3県の範囲と重なる。

プロジェクトリーダー

三井はるみ(国立国語研究所)

共同研究者(所属)

久野マリ子(國學院大學),田中ゆかり(日本大学),亀田裕見(文教大学),鑓水兼貴(国立国語研究所)

研究目的

首都圏の言語は多様性・多面性に富むが,研究対象としては,それぞれの方法論にしたがった角度から部分が切り取られ,分析が行われてきた。これまでの代表的な研究は,(1) 近世期の江戸語から東京語がどのように成立したかを捉える「東京語」研究,(2) 伝統的地域方言としての関東方言・東京方言を記述し,分布と変化を捉える「東京方言」研究,(3) 社会調査の手法を用いた大規模調査による「都市言語」研究,に大別される。さらに1990年代後半以降は,「首都圏」という地域を措定して,その内部における言語の実態と動向を,背後にある言語意識とともに捉えようとする「言語動態」研究が現れた。

これらの研究はそれぞれに成果を挙げ,知見を蓄積してきた。しかし,多様・多面的である首都圏の言語の全体像を見通すためには,個々の研究がそれぞれに精緻化を図るだけでなく,再びそれらを総合する必要がある。そのためには,それぞれの方法論による研究成果を相互に参照し,取り入れ,首都圏の言語の実態と動向を総合的に捉えることが求められる。

本研究では,言語構造と動態の両面にわたって,首都圏の言語の実像を多角的重層的に把握し,この地域の言語を対象とした,記述的研究,言語地理学的研究,社会言語学的研究,計量的研究の相互乗り入れを図り,首都圏の言語の総合的研究の基盤を築くことを目的とする。

研究計画・方法

(1)研究会活動,(2)新規調査研究活動,(3)これまでの研究資産を見直し再構築する活動,の三つの活動を柱に研究を進める。

平成23年度は,次の計画による。

(1)研究会活動では,公開の共同研究発表会(年2回程度開催)のほか,プロジェクトメンバーを中心とした懇話会,勉強会を複数回行う。必要に応じてゲストスピーカーから話を聞く機会を設ける。(2)新規調査研究活動では,首都圏の言語実態と動向について行うべき新規調査について,内容・方法・規模・分析体制・公表方法を精査する。必要に応じて,首都圏の地域の状況を具体的に把握するための現地踏査を行うとともに,探索的調査を開始する。 (3)これまでの研究資産を見直し再構築する活動は,首都圏の言語に関する研究文献と実施された調査のリストを作成し,主要研究のレビューを開始する。また,既存の首都圏言語関連資料の電子化について検討し,可能なものについて試行する。

平成24年度以降は,23年度の実施状況から活動の優先順位を整理し,研究を進める予定である。
平成24年度 調査・分析の継続,共同研究発表会(2回),研究成果発表
平成25年度 公開シンポジウム,報告書作成

共同研究発表会

開催日時 開催場所 開催案内 開催概要
平成24年3月12日(15:00-17:00) 国立国語研究所
平成23年10月30日(14:00-16:10) 國學院大學渋谷キャンパス
平成23年2月25日(15:00-16:30) 国立国語研究所