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学習者コーパスから見た日本語習得の難易度に基づく語彙・文法シラバスの構築

略称語彙文法シラバス
プロジェクトリーダー山内 博之
実践女子大学文学部教授
研究分野日本語教育
キーワード教授法・カリキュラム,第二言語習得理論,教育工学・教材・教育メディア,日本語教育史,教育評価・測定

概要

学習者コーパスは,第二言語習得分野ではよく用いられているが,使用者が限られており,日本語文法研究や実際の日本語教育に役立つところまでの広がりは十分とは言えない。学習者コーパスによって見出された日本語習得の難易度は,現実の日本語教育に貢献されるべきであり,また,貢献してこそ「日本語学習者会話データベース」など学習者コーパスの意義が広く認知されると言える。本共同研究では,日本語教育文法,第二言語習得,日本語教育方法論,学習ストラテジー,学習ビリーフなど,日本語教育における幅広い分野の研究者が共同で学習者コーパスを用いて研究を行う。目標は,日本語習得の難易度を考慮した語彙・文法を収集し,それらを基に日本語教育における初級・中級・上級シラバスを構築することである。

共同研究者(所属)

庵功雄(一橋大学),森篤嗣(帝塚山大学),建石始(神戸女学院大学),奥野由起子(横浜国立大学),岩田一成(広島市立大学),渡部倫子(広島大学),阿部新(名古屋外国語大学),西川寛之(明海大学),栁田直美(早稲田大学),中俣尚己(実践女子大学),内丸裕佳子(岡山大学),福嶋健伸(実践女子大学),茂木俊伸(鳴門教育大学),松田真希子(金沢大学),俵山雄司(群馬大学),長谷川哲子(関西学院大学),何志明(香港中文大学),澤田浩子(筑波大学),武村美和(北見工業大学),堤良一(岡山大学),太田陽子(相模女子大学),橋本直幸(福岡女子大学),石黒圭(一橋大学),永井涼子(山口大学),宮永愛子(金沢大学),中石ゆうこ(日本学術振興会),高恩淑(一橋大学),迫田久美子(国立国語研究所),丸山岳彦(国立国語研究所),小西円(国立国語研究所)

研究目的

現在の日本語教育における文法シラバスでは,初級で助詞や活用などの日本語の基本的な文型に関わる要素をひと通り教え,中級以降では複合辞や機能語を教えるという文法観があると言われている。この文法観の影響が大きいのは,現時点でもっとも普及している『みんなの日本語』(スリーエーネットワーク)や,世界で50万人以上が受験する日本語能力検定試験の文法観でもあるからである。ただ,この文法観は必ずしも客観的なデータに基づいて導かれたものとは言えないのが実情である。また,一部の研究者からは,受身形などは初級の文法項目では難しすぎるという批判も出ている。データの整備が進み,比較的に規模の大きい学習者コーパスが利用できるようになったいま,学習者コーパスから見た日本語習得の難易度に基づく語彙・文法シラバスを構築する意義は大きい。さらには,BCCWJなど日本語母語話者コーパスも援用して,日本語母語話者の使用実態も考慮に入れた語彙・文法シラバスの構築を目指す。

研究計画・方法

3年間,4年度に渡る研究期間において,日本語教育のための語彙シラバス及び文法シラバスについて,まとまった提案をすることを目的とする。プロジェクトリーダーは全体の総括を担当するだけでなく,研究内容についても中心的な役割を果たす。文法シラバスについては庵,語彙シラバスについては森をサブリーダー相当の担当者とし,研究内容の分担・策定・総括を担当する。岩田は現在の初級文法観がどのように形成されたかという日本語教育文法史の整理を担当し,文法シラバスの策定にも関わる。また,語彙や文法といった言語学的要素にばかり偏らないようにするため,日本語教育方法論(渡部),学習ビリーフ(阿部),学習ストラテジー(栁田)がそれぞれの観点から研究を進める。中俣は文法シラバスを中心に研究を進めると共に,本共同研究プロジェクトの事務も担当する。

プロジェクトリーダーは,既に文法については『プロフィシェンシーから見た日本語教育文法』(ひつじ書房),語彙については『日本語教育スタンダード試案 語彙』(ひつじ書房)で,学習者コーパス(KYコーパス)に基づいた一つの提案をしているが,共同研究により具体的なシラバスの構築を目指す。

また共同研究者である庵・森は,日本語文法学会第11回大会で「日本語教育文法研究のための多様なアプローチ」,2011年度日本語教育学会春季大会で「教育と文法をつなぐ方法論」と,それぞれパネルセッションを実施しており,これらの成果に基づく論文集も近刊予定である。

上記の研究に共通するのは,学習者コーパスをはじめとしたデータに基づく語彙・文法シラバスの研究である。こうした共同研究体制を確立するために,本共同研究者組織を中心として,「データに基づいた日本語教育のための語彙・文法研究会」(代表:山内博之,2011年7月現在会員28名)を設立し,2011年7月30日には第1回研究会を実践女子大学で実施した。本共同研究は,この研究会と連動して進める。

本共同研究ならびにデータに基づいた日本語教育のための語彙・文法研究会による成果は,学会誌への投稿もしくは論文集として刊行することにより,広く知らしめることを目的とする。

共同研究発表会

開催日時 開催場所 開催案内 開催概要
平成24年5月12日(13:30-18:00)国立国語研究所
平成24年2月26日(13:30-18:00) 石川四校記念文化交流館
平成23年12月23日(14:00-18:00) 国立国語研究所