「日本語教育の学習環境と学習手段に関する調査研究」<海外調査>

概要

学習目的,分野,母語等,学習者の特性や,各国・地域における日本語の社会的位置付け,日本語教育機関の設備・環境,教師の教育観や日本語能力等,日本語教育の多様性についての認識は定着しつつあり,それぞれの教育現場において独自の対応がなされてきている。一方,学習者及び教師の地球規模での移動・交流はますます加速しており,日本語教育の各領域全体の様相を捉え,連携体制を整え,必要な支援を行っていくことが日本語教育推進のために求められている。

そこで,国立国語研究所では,国内及び海外の各地域における多様化した日本語教育の実態を学習環境と学習手段という側面から明らかにし,日本語教育の振興を図るための適切な支援や連携体制の整備を進めることを目的に「日本語教育の学習環境と学習手段に関する調査研究」を平成12〜17年度まで実施した。

本調査研究の特徴は以下の3点である。

(1)国内と海外の両方を視野においた調査研究である。

社会・経済状況や教育制度,学習環境等が異なる国内外の地域を比較することで,世界の日本語教育の状況全体を把握することが可能となる。国外では,学習者数や学習環境の面での多様性,現地調査協力体制等の観点から,タイ(バンコック),韓国,オーストラリア(ビクトリア州),台湾,マレーシアの5地域において,主にアンケート調査とインタビュー調査を実施した。日本国内では,全国規模のアンケート調査,及びいくつかの地域(山梨県など)におけるインタビュー調査,参与観察等を実施した。

(2)微視的・巨視的視野の両面からの研究である。

各国・地域の一般的な言語観,教育観,言語教育政策,日本との経済・文化等の交流関係等,それぞれの社会環境の中で日本語教育がどのような位置付けにあるのかという巨視的な視野と,学習者・教師の具体的な行動や意識,教材,教具,個々の日本語学習・教育の実態といった微視的な視野の両面から調査を実施した。

(3)学習者と教師の両面からアプローチする研究である。

各国・地域の初・中・高等教育機関,民間日本語教育機関,ボランティア教室(国内)などに在籍する学習者だけでなく,教師も対象にして調査を実施した。