「日本の消滅危機言語・方言の記録とドキュメンテーションの作成」研究発表会 (2019年6月16日)

プロジェクト名・リーダー名
日本の消滅危機言語・方言の記録とドキュメンテーションの作成
木部 暢子 (国立国語研究所 言語変異研究領域 教授)
開催期日
2019年6月16日 (日) 9:30~16:00
開催場所
国立国語研究所 2F 講堂 (東京都立川市緑町10-2)
交通案内

令和元年度 第1回研究発表会 「格・情報構造 (琉球諸語) 」

趣旨

本プロジェクトでは,日本の消滅危機言語・方言の文法記述のために毎年テーマを設けて研究発表会を開催している。今年度のテーマは「格・情報構造」である。今年度第1回研究発表会では琉球諸語における格と情報構造の各発表者による記述調査研究を議論する。

プログラム

9:30~10:00 受付

10:00~10:40 (質疑応答を含む) 研究発表「南琉球八重山語西表島船浮方言における焦点標識の使用」 占部 由子 (九州大学大学院 博士課程)

本発表では,船浮方言の焦点標識の使用について,観察事実と分析を述べる。船浮方言は,焦点標識の出現に特に制限のない方言とされ,実際に面接調査で得られるデータでは頻繁に焦点標識が観察される。しかし,自然談話では焦点標識の出現頻度は低い。本発表では自然談話において,述部に焦点があたることがデフォルトであるという予測があり,この予測に従う場合には焦点標示が不要であると分析する。

10:40~11:20 研究発表「琉球八重山諸方言の主格標示と特定性」 中川 奈津子 (国立国語研究所)

本発表では,聞き取り調査とコーパスのデータをもとに,八重山諸方言 (白保,真栄里,竹富) の自動詞主語の格標示の振る舞いを調べた結果を報告する。八重山諸方言では =ga と =nu の区別が失われたが,それでも九州の方言や他の琉球諸語のように特定性 (いわゆる有生性階層) にしたがって =nu と無標識の区別が行われていることを示す。また,八重山諸方言では =ga が失われて無標識になったために類型論的に珍しい格標示体系となっていることも議論する。

11:20~11:30 休憩

11:30~12:10 研究発表「沖縄県うるま市津堅方言の格」 又吉 里美 (岡山大学)

本発表では,沖縄県うるま市に位置する津堅島の方言の格について,調査結果の報告を以下の内容を中心におこなう。津堅方言の主格標示には ga と nu の二つが認められ,その出現のあり方について述べる。続いて,津堅方言の格タイプは,基本的には,他動詞主語と自動詞主語が同じ格 (=主格) で示され,他動詞目的語は無標となる「主格対格型 (有標主格) 」であることを確認する。特に,「主格対格型 (有標主格) 」として位置づけられることを,調査票による調査データ,談話資料のデータをもとに格標示のあり方とともに示す。また,有生性や語順などと格標示との関連についての分析考察を述べる。

12:10~13:20 昼食

13:20~14:00 研究発表「北琉球沖縄語伊平屋方言の情報構造」 サルバトーレ・カルリノ (国立国語研究所 / 一橋大学大学院 博士課程)

本発表ではエリシテーションによって得られたデータと談話データに基づき,北琉球沖縄語伊平屋方言の情報構造について報告する。

14:00~14:40 研究発表「与論方言の格=とりたてについて」 當山 奈那 (琉球大学)

本報告では,国頭語に属する与論方言の格=とりたて形式を含む文について,情報構造も含めた観点から分析・記述を行う。

14:40~14:50 休憩

14:50~15:30 研究発表「北琉球奄美大島方言の格標識について ―龍郷町浦方言を中心に―」 重野 裕美 (広島経済大学)

本発表では龍郷町浦方言を中心に奄美大島方言の格標識を概観する。特に,主格 (ga/nu/Ø),対格 (ba/Ø) の分布について名詞の種類,述語の種類,情報構造の観点から検討する。

15:30~15:50 ディスカッション

15:50~16:00 事務連絡