シンポジウム 「日本語文法研究のフロンティア ―日本の言語・方言の対照研究を中心に―」

プロジェクト名・リーダー名
対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法
窪薗 晴夫 (国立国語研究所 理論・対照研究領域 教授)
班名・リーダー名
文法研究班 「とりたて表現」
野田 尚史 (国立国語研究所 日本語教育研究領域 教授)
共催
日本の消滅危機言語・方言の記録とドキュメンテーションの作成
木部 暢子 (国立国語研究所 言語変異研究領域 教授)
方言文法研究会
開催期日
2021年3月6日 (土) 10:00~16:55
2021年3月21日 (日) 10:00~17:30
開催場所
Web開催 (Zoom を使用)
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参加費
無料

プログラム

発表「方言の終助詞の対照研究 ―平叙文専用の形式を中心に―」 (小西いずみ) が3月6日 (土) から3月21日 (日) に変更になりました。

3月6日 (土) 10:00~16:55

10:00~10:10開会の挨拶,趣旨説明
野田 尚史 (国立国語研究所)

10:10~10:45「拡張コピュラ文述部の形態論」 佐々木 冠 (立命館大学)

茨城県神栖市波崎方言の[kɯtta]は「食べる」の過去形と「来る」の拡張コピュラ形式 (ノダ文の述部に相当) に対応する。本発表では,波崎方言の[kɯtta]の両義性がこの地域の方言の千葉的な形態論と茨城的な音韻論の相互作用によるものであることを千葉県南房総市三芳の方言の対応する形式との対象を通して明らかにする。波崎方言と三芳方言の拡張コピュラ形式は準体助詞を用いない点で形態的構成が同じである。拡張コピュラ形式の音声形式を考察する上で重要な素性は有声性である。有声性に関して,二つの方言は語幹と接尾辞の結びつきで生じる音韻プロセスに関しては同様であるが,単語と接語の結びつきで生じる音韻プロセスに関しては異なる振る舞いを示す。二つの方言の違いを適切に捉え,波崎方言の[kɯtta]の両義性を把握するには,接尾辞と接語の独立性の違いを反映した忠実性制約を用いた分析が有効である。

10:45~11:20「日本語諸方言コーパスを用いた複数接尾辞の対照方言研究」 平塚 雄亮 (中京大学)

本発表は,日本語諸方言コーパス (COJADS) を用い,タチ,ラ,ドモなどの複数接尾辞の語形のバリエーションおよび分布を実際の発話から分析するものである。分析の観点としては,地域的な語形の分布はもちろん,複数接尾辞のつく (代) 名詞によって出現の偏りがあることも示す。方言文法全国地図 (GAJ) には複数接尾辞の地域的な分布を示す図はなく,本発表が初めてその全体像を明らかにするということになる。なお,GAJ 第44図 (「お茶でも (飲もう) 」) および第54図 (「傘なんか (いらない) 」) をみると,複数接尾辞由来であると思われる形式が,とりたて助詞として北陸や九州に分布していることがわかる。このように,複数接尾辞由来の形式がとりたて助詞として COJADS にどのように現れているのかもあわせて示す。

11:20~11:55「可能の意味区分の全国分布から何がわかるか」 松田 美香 (別府大学)

本発表では,可能の意味構造の枠組みを設定し,全国分布を概観することで,可能表現の体系の変化の動態をとらえようとする。方法としては,これまでの調査から得た可能の枠組み (能力可能・心情可能・外的条件可能・内的条件可能) に,方言文法研究会編『全国方言文法辞典資料集』 (2) ~ (4) のおよそ35地点を当て嵌めていき,共時的に全国の可能の意味区分の様相を見る。その結果,東北地方と九州地方には,能力可能と状況可能を区分する地域があり,近畿地方とその周辺部には,「ヨー+動詞の非過去形」によって心情可能を区分する地域がまとまっていることがわかった。全国分布を見ることで,いわゆる可能動詞形が意味構造の枠組みを変化させていく様相を捉えることができる。

13:00~13:35「鹿児島方言における主格・属格標示とその地域差」 久保薗 愛 (愛知県立大学)

現代日本語諸方言において,格標示に用いられるマーカーのタイプや,ɸの許容の度合いなどを含めて,方言ごとに多様な格標示のタイプが存在することが知られている。またその標示に関与する条件もさまざまである。

鹿児島方言では,ガとノが主格・属格標示に与るが,同じ県内の方言であっても,若干の地域差がありそうである。そこで本発表では,明治時代から昭和初期生まれの鹿児島方言話者による談話を対象に,県内のいくつかの地点における主格・属格の格標示について報告する。特に,名詞句の意味特性という観点を中心に検討したい。さらに他の九州方言に関する先行研究との比較から,本方言の主格・属格の特徴を示す。

13:35~14:10「長崎県の2つの方言における排他の「が」」 原田 走一郎 (長崎大学)

本発表では,長崎県内の2つの方言 (茂木大崎と藪路木島) における排他の「が」の使用について報告する。標準語を含めて,三者を対照しながら特徴を見る。結論としては,標準語,茂木大崎,藪路木島の順で排他の「が」の使用の制限が弱くなることを述べる。茂木大崎方言では,標準語より「が」がつきうる要素の意味の制限が緩く,より時間的幅を持った副詞的要素にも「が」がつく。ただし同方言は,「が」を含む部分が文頭に現れる点や,助詞の連続が観察されない点などは,標準語と共通している。一方,藪路木島方言では,「あの家かる (「から」の意) が火の出た」のように助詞の連続が許され,さらに,「火のあの家かるが出た」のように「が」のつく部分が文頭でなくてもいい。これらの三者を比べることで,どのような要素につくか,助詞連続を許すかどうか,文頭でなければならないか,などの観点で諸方言の排他の「が」を分類できる可能性が見いだされる。

14:10~14:45「八重山語における副詞の対照研究 ―鳩間島方言,石垣島四箇方言,竹富島方言を中心に―」 仲原 穣 (琉球大学)

まず,鳩間島方言の用例を示し,副詞の分類を行う。次に,鳩間島方言,石垣島四箇方言,竹富島方言を対照し,八重山語の副詞について概観したい。

例えば,鳩間島方言では擬声語・擬態語を用いる際に「イーバ ガッふァガッふァシ ッふァイ」 (食べ物をむしゃむしゃと不作法に食べ) 〔ふァは [ffa] の仮名表記〕のように「~シ」 (~して) を伴う用例が多くみられる。一方,竹富島方言では「イーユ ガッファガッファ ホッタ (食べ物をガツガツ食べたら) 」のように「助詞なし」で使用し,「ホン (食べる) 」の様態のあり方を限定している。これは石垣島四箇方言でも同様で「ガッファガッファ ギャンテ ファイッテパリヨー。(思う存分 (むしゃむしゃと) たくさん食べて行きなさいよ。) 」のように用いることができる。

15:00~15:35「条件文のモダリティ制約に関する対照研究 ―条件付けられた命令・依頼表現を中心に―」 有田 節子 (立命館大学)

現代日本語標準語の条件文は,条件形式によって後件に現れるモダリティに制約があると言われている。特に,後件が直接的な働きかけ (命令・依頼表現) の場合に顕著である。類似の制約が日本語諸方言にもあることが報告されているが,この制約は,後件が命令・依頼表現の際に特定の条件形式が使えない,というような単純な現象ではなく,その制約の実態は必ずしも明らかではない。この発表では,標準語とは異なる条件形式が使用される九州方言のデータを取り上げ,標準語と比較しながら分析する。さらに,「条件付けられた命令文」 (Conditionalized Imperatives (=CI) ) における「命令」の意味をどのように捉えるかは,条件文・命令文の意味論研究でも盛んに議論されている。日本語条件文における後件のモダリティ制約が CI の意味論的研究とどう関連づけられるかについても考察する。

15:35~16:10「東北方言における条件表現の形式 ―近代の方言変化を読み解く―」 竹田 晃子 (フェリス女学院大学 / 岩手大学)

東北方言の条件表現には,方言によって,接続助詞バ/タラ/トや,形式名詞相当のコト/トキ/モノなどを含む形式,形容詞の活用語尾などがあり,さまざまな形式およびそれらの組み合わせによる形式が使われてきた。それらのありようは『方言文法全国地図』 (1980年頃調査) や近年の記述調査でも捉えられてはいるが,さらに古い方言調査や論文を精査すると,近代,少なくとも明治以降に大きな変化を遂げていたとみられることがわかる。明治から平成までの約百年間に行われた大規模方言調査の回答を整理・分析し,形式の分布域ごとの特徴や変化を読み解くことによって,東北方言における条件表現に用いられてきた形式の出自と変化を明らかにする。

16:10~16:45「意志・推量表現の方言間対照・史的対照 ―西日本のラム由来形式使用地域を中心に―」 舩木 礼子 (神戸女子大学)

方言のモダリティ,特に推量表現や意志表現などの領域については,使用形式の報告や方言地理学的分析は多いものの,その形式が担う意味の異同や部分体系についての方言対照研究はあまり深まっていない。また各方言の現代の体系 (モダリティ部分体系) は過去からの変化の結果といえるが,大都市を除き,資料の制約から明らかになっている部分は少ない。しかし間が分からないからこそ史的な「対照」も意味を持つ。本発表では,古代語の「らむ」由来形式を使用している島根県石見方言,高知方言などに注目して方言間のモダリティ部分体系を対照すると同時に,近世末方言と現代方言とを対照することで,その差異から見えることを考えていく。

16:45~16:55閉会の挨拶
木部暢子 (国立国語研究所)

3月21日 (日) 10:00~17:30

10:00~10:05開会の挨拶,趣旨説明
野田 尚史 (国立国語研究所)

10:05~10:40「方言動詞の活用システムと同音衝突 ―否定のンと終止形の撥音化―」 江口 正 (福岡大学)

動詞終止形の「ル」が環境によって撥音・促音・長音などのモーラ音素化する現象は様々な方言でみられる。その撥音化した「ル」は西日本方言では一段活用の動詞否定形の「ン」において同音衝突を起こす。(「起きる」→撥音化形オキン・否定形オキン)

本発表はこの同音衝突がシステマティックに回避されているように見えるいくつかの方言 (主として九州方言) の活用システムや活用形の談話上の運用の実態を観察し,同音衝突という表面的な現象がシステム上・運用上どのようなことにつながっているか考察する。さらに活用システムの方言差のいくつかの部分は同音衝突の回避方法の違いとして解釈することが可能ではないかという仮説を提出する。

10:40~11:15「宮古諸方言の形容詞「語根」の用法」 下地 賀代子 (沖縄国際大学)

宮古諸方言の形容詞には,その「語根」が名詞の前に直接して連体修飾を行う用法がある。構造的には複合名詞と全く同じであり,両者の線引きは難しい。また,多良間方言 (多良間島方言,水納島方言) には語根に -sɨ (/-su) がついた形式が現れるのだが,これはいわゆる感情形容詞にのみ見られる形式であり,語根のみの形式と意味的な対立を示している。 (例えば,utul-panasɨ と utulsɨ-panasɨ はどちらも「恐ろしい話」と訳せるが,後者は表現主体の内的状態 (感情) に基づいており,「規定」のプロセスが異なると捉えられる。例は多良間島方言。)

本発表では,まず宮古諸方言の形容詞「語根」の用法について対照する。そして,古典日本語,現代日本語研究におけるこれまでの研究の知見を参照しつつ,その「文法的機能」について考察する。また,多良間方言の形容詞にみとめられる語彙的意味と形式の相関関係を踏まえつつ,同方言形容詞の語根に伴う -sɨ (/-su) についても考えてみたい。

11:15~11:50「形式名詞キリ・ギリの変化 ―地理的バリエーションから見る変化の多様性―」 岩田 美穂 (就実大学)

対照研究は通常,一つの文法事項を軸とし各地域における異なった形式対照するが,本発表では一つの形式を軸とし各地域において異なった文法形式として発達している様を対照する。具体的には形式名詞キリ (ギリ) を取りあげる。

形式名詞キリ (ギリ) は,標準語では「出て行ったきり」のような際限を表す副詞節を形成する。一方,諸方言に目を向けると,九州西部において条件節を形成する形式として用いられる「ギー」や,愛媛県東中予地域において限定を表す副助詞として用いられる「ギリ」も同じく形式名詞キリ (ギリ) を由来とすると考えられる。本発表では,これらの地域における各形式の特徴と,関西を中心とした歴史的な中央語における変化をふまえ,各地で形式名詞キリ (ギリ) がそれぞれどのような変化を辿ったのかを考察していく。この考察を通して,由来を同じくする形式が辿る変化の多様性について考えたい。

13:00~13:35「北琉球方言格助詞の対照研究」 中本 謙 (琉球大学)

北琉球に属するもののうち,沖縄北部大宜味村大兼久方言,沖縄中南部から宮城島方言,奥武島方言を取り上げる。これまでの臨地調査資料を用いてそれぞれの格助詞の概要を示した上で,比較,対照しその特徴を考察する。例えば,これら3地域では主格用法としてガ,ヌが用いられる点では共通するが,それぞれ承ける体言によるガ,ヌの区別については異なりをみせる。これら3地域の実態を日本語史における「が」「ぬ」の変遷も踏まえながら考察し,変化傾向も含めて特徴を明らかにする。また大宜味村大兼久方言では,ナファーチ イクン. (那覇へ行く。) のように「方向」はすべてチで表され,共通語の「に」に相当するネーは,×ナファーネー イクン. (那覇に行く。) のように「方向」を表すことができないという特徴があり,他2地域との考察を示したい。他にも「道具」等を表す宮城島方言のシー (で) も他と比較,対照し,その特徴を示す予定である。

13:35~14:10「大阪方言における条件表現のバリエーション」 高木 千恵 (大阪大学)

大阪を含む関西の方言では順接仮定の条件節を作る形式として「~タラ」を使うことが知られている。たとえば,一般条件や過去の習慣など,標準語であれば「~と」や「~ば」が適切とされる条件文でも,大阪方言では「~タラ」が使われる (例 : 「飛行機雲が出タラ,天気は下り坂や。」「昔は友達が来タラ夜中まで騒いどった。」)。また,時間的前後関係のない条件文や主題の提示のように標準語の「~なら」が担う用法にも,大阪方言では「~ (ン) ヤッタラ」が使われる (例 : 「車で行くンヤッタラ私も乗せて。」「あの子ヤッタラ大丈夫やわ。」)。

史的変遷も含め,こうした事実は先行研究ですでに明らかにされているが,一方で標準語との接触によって「~バ」が使われるようになっているとの指摘もある。本発表では,標準語を対象とした条件表現研究の成果をふまえつつ,現代の大阪方言における条件表現のバリエーションとその使い分けについて分析・考察する。

14:10~14:45「奄美大島瀬戸内方言の条件形式の体系と派生的用法」 齊藤 美穂 (神戸大学)

本発表では,奄美大島南部の瀬戸内町地域で話される方言 (以下,瀬戸内方言) の条件形式を取り上げ,標準語の条件形式の体系との対照を試みる。瀬戸内方言では,「あした雨が降ったら,船は出ないだろう」のような仮定条件に用いられる形式と,「そこへ行ったら,もう会は終わっていた」のような,過去の一回的事態を表す事実的用法に用いる形式とが明確に使い分けられており,後者の事実的用法を表す形式は,この用法をもつ標準語の形式 (「シタラ」「スルト」) が表さない確定条件的な意味まで表しうる。このような背景から,「言いさし」の形で用いられる際にも,瀬戸内方言の条件形式には,標準語の条件形式とは異なる振る舞いが見られることを示す。

15:00~15:35「「日本語諸方言コーパス」を用いた「ノダ文」の方言間対照」 野間 純平 (島根大学)

標準語には,「ノダ文」と呼ばれる表現がある。これは準体助詞 (形式名詞) とコピュラの組み合わせからなり,名詞述語文に由来するモダリティ形式とされている。多くの方言にも,準体助詞や形式名詞に由来する同様の形式が存在するが,その意味や機能が方言間でどのように異なるのか,これまであまり明らかにされてこなかった。

そこで,本発表では,「日本語諸方言コーパス (COJADS) 」を用いて,日本語諸方言における「ノダ文」の意味・機能を対照することを試みる。具体的には,各方言において形式的に「ノダ」に相当する要素と,その標準語訳との対応関係を,生起環境や文タイプ,共起する終助詞類など,さまざまな観点から整理する。そして,それを各方言における「ノダ文」の機能の差として解釈することを試みる。

15:35~16:10「日本語諸方言の敬語運用類型とその地理的分布」 酒井 雅史 (甲南女子大学)

日本語の方言敬語 (尊敬語) については,これまで多くの論考がある。方言文法全国地図や種々の先行研究から用いられる敬語形式を知ることができ,「身内尊敬用法」の有無や「東日本よりも西日本の方が盛んである」といった用いられ方の特徴についてもいくつかの指摘がある。

本発表では,方言文法全国地図など全国的な状況を俯瞰できる資料を用いて,敬語運用の類型とその地理的分布を捉えていく試みを示す。具体的には,話し相手に対する敬語使用が問題となる対者待遇場面とその場にいない第三者のことを述べるときの敬語使用が問題となる第三者待遇場面での尊敬語の用いられ方を中心に扱う。そのうえで方言敬語研究の課題について考えたい。

16:10~16:45「昔話の叙述型の全国概観」 日高 水穂 (関西大学)

昔話のストーリーを展開させる叙述の文末形式は,以下の4タイプに大別できる。
 伝聞描写型 : 述語用言+伝聞形式 (+終助詞)
 伝聞説明型 : 述語用言+説明のモダリティ形式+伝聞形式 (+終助詞)
 確定説明型 : 述語用言+説明のモダリティ形式 (+終助詞)
 確定描写型 : 述語用言のみの言い切り (+終助詞)

方言で記録された昔話資料を全国的に俯瞰すると,以下の傾向が見られる。
(1) 周辺部 (東北北部,新潟,島根東部,九州北西部) では伝聞描写型が多用され,中央部 (近畿,四国北部) では確定説明型が多用される。
(2) 東日本および西日本の日本海側の地域では伝聞型が多用され,西日本の太平洋側の地域では確定型が多用される。

(1) は中央部でノダ相当形式が先行的に発達したこと,周辺部ではノダ相当形式を用いない語りが維持されていることを反映したものと考えられ,(2) は昔話を語る文化の地域差を反映したものとみなせる。

16:45~17:20「方言の終助詞の対照研究 ―平叙文専用の形式を中心に―」 小西 いずみ (広島大学)

日本語諸方言の終助詞の記述的研究はこの数十年でかなり蓄積されてきたが,各終助詞の意味については,記述者がそれぞれ独自の用語・表現を使うこともあり,当該方言話者以外には理解が難しい。また,異なる方言間の同形あるいは類義の終助詞の意味・用法の異同も明らかになっていない。本発表では,こうした問題意識にたち,異なる方言間の同形 (類似形) あるいは類義の終助詞を対照し,それらの意味・用法の異同を明確にすることで,終助詞が担う意味の性質や範囲についての理解を深めたい。特に平叙文に現れる終助詞を中心にする。扱う方言と形式は,(1) 富山・大阪・広島・松山方言のワ,(2) 山形方言のジェ・富山方言のゼ・大阪および広島方言のデである。

17:20~17:30閉会の挨拶
日高 水穂 (関西大学)