著書紹介 平成30年度 (2018年度)

太字 : 発行時の在籍者

The Linguistic Review, Volume 36, Issue 1
Special Issue: Prosody and Prosodic Interfaces in Japanese and Korean

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窪薗 晴夫 (編)

De Gruyter Mouton (詳細ページ),2019年2月,ISSN 0167-6318 (電子版 1613-3676)

The Linguistic Review publishes high-quality papers in phonology, morphology, syntax, semantics and pragmatics, within a framework of Generative Grammar and related disciplines, as well as critical discussions of theoretical linguistics as a branch of cognitive psychology.

Striving to be a platform for discussion, The Linguistic Review welcomes reviews of important new monographs in these areas, dissertation abstracts, and letters to the editor. The editor also welcomes initiatives for thematic issues with guest editors. (Editor-in-Chief: Harry van der Hulst)

鹿児島県甑島方言からみる文法の諸相

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窪薗 晴夫木部 暢子,高木 千恵 (編)

くろしお出版 (詳細ページ),2019年2月,ISBN 9784874247860

本書は日本語の危機方言の一つである甑島方言 (鹿児島県) の文法体系・構造を,現地での方言調査をもとに,歴史言語学と対照方言学の視点を交えて考察した研究論文集である。
(中略)
甑島は鹿児島県本土の西40kmの東シナ海に浮かぶ孤島である。その方言は鹿児島方言や長崎方言の姉妹方言でありながら,本土方言とは音声的にも文法的にも異なる独自の進化を遂げており,近年,方言学だけでなく日本語史や言語類型論などの観点からも注目を集めている。話者は推定で2,500人ほどであるが,方言保存の運動がない中で過疎化・高齢化が進み,あと20〜30年程で消滅するのではないかと危惧されている。日本の危機方言の中でも極めて危機度の高い方言の一つである。
この方言については個々の研究者が音声もしくは文法について断片的な研究報告を行ってきたが,本格的な調査が行われていなかったこともあり体系的な記述は皆無であった。そのような中,2012年からの3年間,人間文化研究機構連携研究「アジアにおける自然と文化の重層的関係の歴史的解明」の中の一つの班として,共同研究プロジェクト「鹿児島県甑島の限界集落における絶滅危機方言のアクセント調査研究」 (代表者・窪薗晴夫) を行う機会を得た。「アクセント調査研究」という名称ではあったが,実際にはアクセント研究班と文法研究班に分かれて総合的な研究を目指した。本書はこの調査研究のうち,文法研究班の成果を研究論文集としてまとめあげたものである。
本書は,甑島方言の文法体系を格構造,待遇表現,敬語体系,動詞語幹交替,モダリティ,条件表現などの観点から分析した点において,この消滅に瀕した方言に関する初めての文法書と言うことができる。本書はまた,甑島方言を他の日本語方言や昔の日本語 (京都方言) と比較するという「外からの視点」も持って執筆されており,単に一方言の記述文法書にとどまらず,日本語史や方言学全体に資する内容をも有している。

小学生から身につけたい 一生役立つ語彙力の育て方

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石黒 圭柏野 和佳子 (著)

KADOKAWA (詳細ページ),2018年10月,ISBN 9784046021700

学習の根源,「語彙力」を育てれば,勉強が好きになる!
小学校からはじめたい語彙力を伸ばす方法をくわしく説明!
いろいろな言葉をしれば,想像力も広がり,表現できる世界も広がります。
その上,教科書も理解して読めるようになり,勉強でつまずかないようになります。
では,どのように語彙力を獲得するのがよいのでしょうか?
この本では具体的に,楽しい問題とくわしい解説を通して示します。
一生役立つ語彙力を,小学生から育て始めましょう!

シリーズ社会言語科学 2 社会言語科学の源流を追う

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横山 詔一,杉戸 清樹,佐藤 和之,米田 正人,前田 忠彦,阿部 貴人 (編)

ひつじ書房 (詳細ページ),2018年9月,ISBN 9784894769311

本書は2013年3月に統計数理研究所で開催されたシンポジウム『「ことば」と「考え方」の変化研究 : 社会言語学の源流を追って』にもとづいている。社会言語科学の新しい流れを形づくっている研究活動と,源流として今も流れ続けている調査研究をそれぞれ取り上げ,これから向かうべき方向を模索した。また,科学的データを収集する調査の実際やデータ解析の方法論についても分かりやすく解説した論文集である。

英語学を英語授業に活かす ―市河賞の精神 (こころ) を受け継いで―

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池内 正幸,窪薗 晴夫,小菅 和也 (編)

開拓社 (詳細ページ),2018年9月,ISBN 9784758922593

第50回目の授賞をもって2016年に終了した市河賞の精神 (こころ) を受け継ぐべく,英語学・言語学から中・高等学校の英語教育・英語授業に具体的にどのような貢献ができるかについて,これまでとは異なる新しい試みとして“一歩”踏み込んだ形での論考を収録した論集である。また,中・高等学校の現場の教員からの意見・評価も交えている。現代英語学・言語学と現場の英語教育の新しい視点からの“出会い”となれば幸いである。

豊かな語彙力を育てる ―「言葉の感度を高める教育」へのヒント

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石黒 圭 (著)

ココ出版 (詳細ページ),2018年6月,ISBN 9784866760049

筆者が,長年,留学生へ日本語を教える中で気づかされた,外国人 (日本語学習者) をとおして見える「豊かな日本語」の数々。本書は,「外国語」として日本語を見ることで「言葉の感度」を高め,さまざまな角度から言葉の「なぜ」に迫っていくものです。外国人への日本語教育だけでなく,国語教育の現場でも大いに役に立つ内容が盛りだくさんとなっています。

どうすれば協働学習がうまくいくか ―失敗から学ぶピア・リーディング授業の科学

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石黒 圭 (編著)
胡 方方,志賀 玲子,田中 啓行布施 悠子,楊 秀娥 (著)

ココ出版 (詳細ページ),2018年6月,ISBN 9784866760056

多くの教育現場で実施されているピア・ラーニング。しかし,この教育法は,他の教育法と同じように万能ではなく,実際にやってみるとなかなかうまくいかないことが多い。本書は,編著者が行った実際の授業を多角的に分析し,どのような点がうまくいったのか,そして,どのような点がうまくいかなかったのかを詳らかにする。ピア・ラーニングの有効性だけでなく,その短所をも明らかにすることで,よりよい授業を組み立てる指針を示す良書。

形式語研究の現在

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藤田 保幸,山崎 誠 (編)

和泉書院 (詳細ページ),2018年5月,ISBN 9784757608764

形式語 (転成形式) を対象とする,現代日本語文法・文法史・コーパス言語学・方言研究・対照研究などさまざまな立場からの最新の研究論文28編を収め,形式語研究の現在の水準を示した論文集である。2006年刊行の『複合辞研究の現在』,2013年刊行の『形式語研究論集』を承けて,その後の研究の成果を集約した。日本語文法研究の現在を知るうえで必読の書である。資料として「方言の形式語関係文献目録」を付す。