第1回宮地裕日本語研究基金の受賞者決定について
国立国語研究所は、故宮地裕氏 (大阪大学 名誉教授) の遺志に基づいた寄附金により、日本語研究の振興に供するために、令和4年6月に宮地裕日本語研究基金を創設いたしました。
基金の事業として行っている「宮地裕日本語研究基金学術賞」「宮地裕日本語研究基金学術奨励賞」について、以下のとおり受賞者を決定しましたので、お知らせいたします。
(2023.6.26更新)
国立国語研究所宮地裕日本語研究基金学術賞
日本語研究 (琉球語諸方言を含む) 及びこれに関連する分野における個人又は団体の研究の中で、特に優れた研究1件に関して、本賞 (賞状) 及び副賞 (賞金500,000円) を贈呈します。
- 第1回 (令和4年度募集)
該当者なし
国立国語研究所宮地裕日本語研究基金学術奨励賞
日本語研究 (琉球語諸方言を含む) 及びこれに関連する分野における個人又は団体の研究の中で、若手研究者による優れた研究2件に関して、本賞 (賞状) 及び副賞 (1件につき賞金300,000円) を贈呈します。
- 第1回 (令和4年度募集)
- 氏名 (所属) : 秋田 喜美 氏 (名古屋大学)
研究業績 : 秋田 喜美 著『オノマトペの認知科学』 (新曜社、2022年)
授賞理由 :
本書では、音象徴の中にオノマトペを位置付けたうえで、その定義、機能、意味・構造・用法、起源、言語獲得における役割など、オノマトペの諸相を平易な日本語で解説している。初学者にも分かりやすい概説書の体裁を取りながら、申請者のこれまでの研究成果を随所に織り交ぜており、研究書としても評価できる。またこれまでの日本語オノマトペに関する論考の大半が日本語だけを視野に入れたものであったのに対し、秋田氏の研究は他の言語との対照という一般言語学的な視点を持っており、日本語のオノマトペを世界の言語のオノマトペと相対化させ同じ土俵で論じようとしている点でも優れている。今後の発展性も秘めており、学術奨励賞にふさわしい業績であると判断した。 - 氏名 (所属) : 菊地 恵太 氏 (宮城学院女子大学)
研究業績 : 菊地 恵太 著『日本略字体史論考』 (武蔵野書院、2022年)
授賞理由 :
本書は日本語における漢字の「略字体」についての初めての専書であり、日本語史研究の中でも重要な位置を占めるものである。位相論的観点、特に仏家・非仏家の対立から略字体使用の状況を分析することで新たな整合的解釈を得ていることや、また略字体史の段階モデルの提案がなされていることなどが高く評価できるだけでなく、「抄物書き」といわれる特殊な略字の概要も詳しく探求されており、中世日本語の表記史研究について今後欠くことのできない書物となると考えられる。申請者の研究歴の浅さに比して高い学的水準に達しており、学術奨励賞にふさわしいものと結論づけた。
- 氏名 (所属) : 秋田 喜美 氏 (名古屋大学)
授賞式
第1回宮地裕日本語研究基金「学術奨励賞」授賞式を開催いたします。
- 日時 : 令和5 (2023) 年6月23日 (金) 16:00~17:30
- 場所 : 国立国語研究所 多目的室 (東京都立川市緑町10-2)
いただいた個人情報は、個人情報保護ポリシーに則り厳正に取り扱います。
- プログラム
16:00~16:05 開会挨拶 : 松本 曜 (国立国語研究所副所長)
16:05~16:15 講評 : 金水 敏 (放送大学/大阪大学名誉教授)
16:15~16:20 授与 : 前川 喜久雄 (国立国語研究所所長)
16:20~16:40 受賞者挨拶及び業績紹介 1 : 秋田 喜美 (名古屋大学)
16:40~17:00 受賞者挨拶及び業績紹介 2 : 菊地 恵太 (宮城学院女子大学)
17:00~17:10 関係者挨拶 : 森山 卓郎 (早稲田大学教授)
17:10~17:20 閉会挨拶 : 前川 喜久雄 (国立国語研究所所長)
17:20~17:30 記念撮影
問い合わせ先
人間文化研究機構 国立国語研究所 管理部研究推進課
住所 : 〒190-8561 東京都立川市緑町10-2
Tel. : 042-540-4314 (平日9:30~17:00)
E-mail : suishinka[at]ninjal.ac.jp