最近の研究成果の出版物や,国語研究所の所員が執筆・編集した主な出版物をご紹介します。

他動性(自動詞と他動詞の相違)が連続的な性質を持つことを解明する論文8篇を収めた論文集。日本語を英語,マラーティー語,ネワール語,タイ語,白モン語,トルコ語,アイスランド語などと比較することで,言語の典型的な表現形式が拡張して使用されるための認知的なメカニズムや,そのような拡張が生み出す言語間の共通点と相違点を明らかにし,古くから言われる「スル型対ナル型」や無生物主語の問題にも新しい知見を提供している。
3,150円(税込),くろしお出版(詳細ページ),2010年6月,ISBN:978-4-87424-485-2

「新常用漢字」をきっかけに,日本語の表記にとっての文字,言語政策と文字コード,言語と文字について,幅広い多様な視点から文字をめぐるさまざまな問題に言及する。2008年7月19日に花園大学で開催した「ワークショップ:文字---(新)常用漢 字を問う---」での発表をもとに全5編の論考を収録する。
3,675円(税込),勉誠出版(詳細ページ),2009年12月,ISBN:978-4-585-03227-4

英語の生成文法に端を発し,近年では日本語その他の言語でも活発に論じられている「結果構文」の諸相を言語類型論の観点から探究した論集。筆者担当の「語彙情報と結果述語のタイポロジー」では,動詞の意味情報を表示したクオリア構造に基づいて結果述語の階層的な生起を予測する普遍的仮説を提示し,それに基づいて日本語,英語,中国語,ドイツ語,タイ語,ハンガリー語など諸言語の形容詞的結果述語が実際に階層的に分布することを実証している。
9,870円(税込),ひつじ書房,2009年11月,ISBN:978-4-89476-469-9

本書は,人間の認知と言語の関係を考察する認知言語学と,世界諸言語を視野に入れて言語の普遍性と個別性を考察する言語類型論の融合領域である「認知類型論」の研究書である。パルデシ担当の第4章,第5章では,アジアの広範な言語の比較を通じて,受動文における「受影性」のあり方、ならびに「食べる」動作を表す動詞の意味拡張について,その普遍性と多様性,そしてその背後にある認知的メカニズムが明らかにされている。
3,150円(税込),研究社(詳細ページ),2009年10月,ISBN:978-4-327-23705-9