最近の研究成果の出版物や,国語研究所の所員が執筆・編集した主な出版物をご紹介します。

本書はオーストラリア東北部のワロゴ語の研究書です。この言語の最後の話者は1981年に亡くなりました。本書は最後の話者から記録した資料を用いて,この言語の音韻,形態,統語と文化的背景をできる限り詳細に記録したものです。
De Gruyter Mouton(詳細ページ),2011年12月,ISBN: 978-3-11-023877-8

「日英対照」3部作の完結編。動詞や名詞といった品詞を軸としながらも,語彙が持つ意味情報と,それらが文中でどのように用いられるかという統語的な性質との関係を明らかにしようとするものである。
2625円(税込),大修館書店(詳細ページ),2011年11月,ISBN: 978-4-469-24568-4

本書は古典文献に基づいた実証的な方法論に加え,現代語の理論研究や方言データも視野に入れ,幅広い視点から日本語文法の歴史的研究を行っている独創・発展型共同研究プロジェクト「日本語文法の歴史的研究」の成果の一部をまとめた論文集である。
3,150円(税込),くろしお出版(詳細ページ),2011年11月,ISBN: 978-4-87424-533-0

私たちがふだん何気なく使っている数字の発音には,面白い「ことばの法則」がい くつも隠されている。その中には日本語だけに通用する法則もあれば,英語や他の言語にも共通に観察される法則もある。またことばの法則と思えたものが,実はことばを超えた人間社会の法則や自然界の法則であることも珍しくない。本書は,数字の発音に隠されたそのような日本語の法則や原理を解説している。
861円(税込),岩波書店(詳細ページ),2011年6月,ISBN: 978-4-00-5006847

2009年に東京言語研究所が主催した「教師のためのことばワークショップ」の成果をまとめたもの。教育現場における「ことばの力」を念頭におい て,4名の執筆者がそれぞれの立場から言語の構造,言語研究の面白さを説いている。「言語研究のおもしろさ」(池上嘉彦),「ことばの曖昧性と方 言」(窪薗晴夫),「文の成り立ちを探る」(大津由紀雄),「曖昧表現からことばの科学を垣間見る」(西山祐司)。
1,785円(税込),開拓社(詳細ページ),2011年6月,ISBN: 978-4-7589-2526-6

他動性(自動詞と他動詞の相違)が連続的な性質を持つことを解明する論文8篇を収めた論文集。日本語を英語,マラーティー語,ネワール語,タイ語,白モン語,トルコ語,アイスランド語などと比較することで,言語の典型的な表現形式が拡張して使用されるための認知的なメカニズムや,そのような拡張が生み出す言語間の共通点と相違点を明らかにし,古くから言われる「スル型対ナル型」や無生物主語の問題にも新しい知見を提供している。
3,150円(税込),くろしお出版(詳細ページ),2010年6月,ISBN:978-4-87424-485-2

「新常用漢字」をきっかけに,日本語の表記にとっての文字,言語政策と文字コード,言語と文字について,幅広い多様な視点から文字をめぐるさまざまな問題に言及する。2008年7月19日に花園大学で開催した「ワークショップ:文字―(新)常用漢 字を問う―」での発表をもとに全5編の論考を収録する。
3,675円(税込),勉誠出版(詳細ページ),2009年12月,ISBN:978-4-585-03227-4

英語の生成文法に端を発し,近年では日本語その他の言語でも活発に論じられている「結果構文」の諸相を言語類型論の観点から探究した論集。筆者担当の「語彙情報と結果述語のタイポロジー」では,動詞の意味情報を表示したクオリア構造に基づいて結果述語の階層的な生起を予測する普遍的仮説を提示し,それに基づいて日本語,英語,中国語,ドイツ語,タイ語,ハンガリー語など諸言語の形容詞的結果述語が実際に階層的に分布することを実証している。
9,870円(税込),ひつじ書房,2009年11月,ISBN:978-4-89476-469-9

本書は,人間の認知と言語の関係を考察する認知言語学と,世界諸言語を視野に入れて言語の普遍性と個別性を考察する言語類型論の融合領域である「認知類型論」の研究書である。パルデシ担当の第4章,第5章では,アジアの広範な言語の比較を通じて,受動文における「受影性」のあり方、ならびに「食べる」動作を表す動詞の意味拡張について,その普遍性と多様性,そしてその背後にある認知的メカニズムが明らかにされている。
3,150円(税込),研究社(詳細ページ),2009年10月,ISBN:978-4-327-23705-9