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会話の韻律機能に関する実証的研究

略称会話韻律機能
プロジェクトリーダー小磯花絵
(理論・構造研究系 准教授)
研究分野談話分析
キーワード会話音声,韻律情報,音声コーパス,会話相互作用

概要

本研究の目的は,音声コーパスに基づく定量的分析を通して日本語会話における韻律情報の持つ機能を検討することである。韻律情報は会話の円滑な進行において重要な役割を果たしており様々な分野で研究が行われてきた。しかし従来の会話研究では会話のみを分析対象としており,観察された韻律特徴を安易に会話相互作用の機能と結びつけて議論されることも少なくなかった。そこで本研究では,同一話者による会話と独話を対象に韻律の傾向を分析・比較し,両者の類似点・相違点を明らかにした上で,会話における韻律機能を会話固有の機能(話者交替や相槌など話者間の相互作用に関連する機能)と,会話・独話を含む話し言葉一般に見られる機能(統語構造や談話構造など多様なレベルの情報の終了性・継続性に関する表示機能など)に分けて捉え直す。分析には『日本語話し言葉コーパス』のうち同一話者による会話と独話を主に用いる。本コーパスには種々のタグが付与されており,韻律情報と統語・談話構造との関係を多角的に分析することができる。本データを用い,(1)統語・談話構造との関係から会話・独話の韻律の比較を行い両者の類似点・相違点を体系的に明らかにする研究と,(2)会話研究の中で指摘されてきた個別事象に着目した研究を行う。

プロジェクトリーダー

小磯花絵(理論・構造研究系)

共同研究者(所属)

菊池英明(早稲田大学),五十嵐陽介(広島大学),高梨克也(京都大学),石本祐一(国立情報学研究所)

研究目的

本研究の目的は,理論・構造研究系が対象とする「現代日本語の音声・音韻」のうち特に語彙を超えた談話のレベルの音声特徴を対象とし,音声コーパスに基づく定量的分析を通して会話相互作用における韻律の特徴・機能を実証的に解明することである。会話における韻律の特徴や機能を検討する際,会話音声のみを分析対象とする従来の研究方法に限界があることを踏まえ,本研究では,同一話者による会話と独話を対象に韻律(句末音調や声の高さ・大きさ・速さ・ポーズ・言い淀みなど)の傾向を比較し,両者の類似点・相違点などを明らかにした上で,会話における韻律機能を会話固有の機能(話者交替や相槌など話者間の相互作用に関連する機能)と,会話・独話を含む話し言葉一般に見られる機能(統語構造や談話構造など多様なレベルの情報の終了性・継続性に関する表示機能など)に分けて捉え直す。具体的には,(1)主に統語構造(従属度の異な3種類の節単位情報や挿入構造・統治構造など)・談話構造(数段階の切れ目の強さで認定される談話境界情報)との関係から会話と独話の韻律の比較を行い,両者の類似点・相違点を体系的に明らかにすると同時に,(2)会話研究の中で指摘されてきた個別現象(例:発話権保持のために文末のあとポーズを置かず文末から次の文頭まで発話速度を上げて発話する現象など)に着目して会話と独話の比較を行うことによって,韻律の機能について総合的に検討する。

研究計画・方法

A.会話韻律研究に関する文献調査(主担当:高梨・小磯)

平成22年度(後半)に会話研究の中で指摘されている韻律現象に関する文献調査を実施し,平成23年度以降に分析対象とする韻律現象の候補の洗い出しを行う。

B.データ整備

分析にはCSJのうち同一話者による会話と独話(各20,計40)を主に利用する。平成22年度(後半)~24年度(前半)にかけて,これらのデータを対象に次の整備を実施する。

  1. 会話・独話データへの追加情報付与(主担当:小磯・高梨・石本)
  2. データのアクセント句へのまとめ上げ(主担当:菊池・五十嵐)
  3. XML形式からDB形式への変換・追加情報の統合(主担当:小磯・菊池)

CSJは,多様な種類の情報が付与されているコアと呼ばれるデータと,それ以外のデータ(非コア)が存在する。22年度中にコアの統語関連情報を,23年度前半にコアの韻律関連情報を,23年度中に非コアの統語関連情報を,24年度前半にコア・非コアの談話構造情報・非流暢関連情報を付与する。

C.会話と独話の韻律比較

データ整備の進行状況に合わせて順次以下の分析を実施する。

  1. 統語・談話構造から見た会話・独話の韻律比較
    23年度:コアを対象に統語構造と韻律との関係を分析(全員)
    24年度(前半):全体を対象に統語構造と韻律との関係を分析(小磯・五十嵐・石本)
    24年度(後半):コアを対象に統語構造と韻律のうち特にフィラーなど非流暢現象との関係を分析(小磯・菊池)
  2. 24年度:会話研究の中で指摘されてきた個別現象に着目した会話・独話の韻律比較(高梨・小磯)
  3. 25年度(前半):上記(1)(2)の分析を通して得られた会話と独話の比較結果に基づき,会話における韻律の機能について総合的に検討

年度毎の研究成果は,公開研究会(年2~3回),学会発表,論文によって発信する。またH24年度末(あるいは最終年度)に公開シンポジウム等を企画し,成果を広く公開することに努めると同時に,研究を総括する形で報告書を作成し,可能であれば国内出版社からの研究論文集を刊行する。

共同研究発表会

開催日時 開催場所 開催案内 開催概要
平成23年12月17日(14:00-16:30) 国立国語研究所
平成23年12月9日(18:00-20:00) 国立国語研究所
平成23年11月23日(13:00-18:00) 国立情報学研究所
平成23年3月24日(13:30-15:30) 国立国語研究所