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言語の普遍性及び多様性を司る生得的制約:日本語獲得に基づく実証的研究

略称日本語獲得研究
プロジェクトリーダー村杉恵子
南山大学外国語学部教授
研究分野日本語獲得
キーワード日本語獲得,統語理論,原理とパラメータ,極小主義,実証的研究

概要

現代言語理論では,母語獲得は,生後取り込まれる言語経験と,ヒトに遺伝により生得的に与えられた言語獲得機構との相互作用により達成されると仮定されている。この言語獲得機構は,①全ての言語が満たすべき普遍的制約と,②可能な言語間変異を定める制約からなると考えられているが,これらの制約の存在に関する母語獲得からの検討は,これまで主に欧米の言語を対象とした研究に限られている。

本共同研究プロジェクトでは,詳細な記述に基づいた言語理論研究に立脚して日本語の獲得過程を分析することにより,これらの制約の存在に対する新たな視点からの検討を行う。具体的には,心理実験による実証的研究,および発話分析による記述的研究の両手法を用いて,日本語における格(特に主格の誤用),複合名詞句の構造や自動詞・他動詞,使役などの(複合)述部の構造,ならびに移動現象や削除現象に関する知識の獲得過程を明らかにし,日本語獲得から言語獲得理論へ,さらに言語理論への貢献を目指す。

共同研究者(所属)

杉崎鉱司 (三重大学),岸本秀樹 (神戸大学),高橋大厚 (東北大学),齋藤衛 (南山大学),窪薗晴夫(国立国語研究所)

研究目的

日本語獲得に関しては,過去に優れた記述的研究が行われているが,その多くは,理論的研究の成果に基づいたものではないため,言語獲得機構がもたらす言語の普遍性に対し新たな知見を与える成果が限られている。また,上記に掲げた研究課題(たとえば格,複合名詞句構造,移動規則,削除)は,これまでの研究においては個別に扱われ,それらの獲得段階にみられる関係についての考察や分析はほとんど行われていない。本研究は,日本語に関する理論研究の成果を詳細に検討し,それを踏まえ,文法の普遍的属性を反映していると思われる現象の獲得過程を横断的かつ実証的に分析することを主な目的とする。さらに,日本語を母語とする幼児1名(1歳~3歳)の新たな縦断的発話コーパスの構築も行い,記述的な側面での貢献も目指す。本研究の主な意義は,以下の3点である。①日本語に関する理論研究を踏まえた実証的研究を行うことにより,これまで明らかにされていない現象の獲得過程を明らかにし,言語獲得理論の構築に寄与する。②日本語に関する理論研究を獲得の観点から考察することにより,言語理論研究に対して示唆を与える。③広く知られている幼児の誤用(格の誤用,自動詞と他動詞・使役動詞の代替誤用,複合名詞句内の「の」の過剰生成等)に対し,理論的研究の成果に基づいた新たな示唆を与える。

研究計画・方法

村杉・岸本・杉崎・齋藤・高橋の5名で,日本語に関する理論的研究の成果を整理する。それに基づき,杉崎は主に心理実験を用いた横断的な日本語獲得研究を計画・実施する。村杉は,院生アルバイトとして南山大学大学院人間文化研究科博士後期課程在籍の村井(中谷)を中心とし,他に樫谷,木戸の二名の院生を加え,新たな縦断的発話コーパスの構築を行いつつ,それを用いた縦断的な日本語獲得研究を計画・実施する。また,村杉は,得られた成果を整理・統合し,従来個別に扱われてきた現象を横断的に分析し,岸本・齋藤・高橋とともに理論研究との関連を検討し,研究から得られた周辺分野への意義についてまとめる。

平成23年4月~平成24年3月:

  • 発話コーパスの構築を開始する。(村杉・南山大学院生 村井(中谷)・南山大学院生 木戸)
  • 日本語の移動および削除現象に関する心理実験を計画・実施する。(杉崎・南山大学院生 樫谷)
  • 削除現象に関する言語習得可能性(learnability)について検討する。(村杉・高橋・齋藤)
  • 理論的背景をもとに日本語の自然発話分析に基づいた格および複合名詞句の研究を計画・実施する。(村杉・岸本・齋藤・南山大学院生 村井(中谷))
  • 年度内に研究打ち合わせを2回,公開ワークショップを1回行う。

共同研究発表会

開催日時 開催場所 開催案内 開催概要
平成24年3月7日(10:00-18:00) 南山大学 名古屋キャンパス
平成23年2月19日(13:30-18:40)
平成23年2月20日(10:00-11:50)
南山大学 名古屋キャンパス