令和4年度 第2回「危機言語の保存と日琉諸語のプロソディー」合同研究発表会

開催期日
2022年12月4日 (日) 9:00~16:00
開催場所
Web開催 : Zoom 参加 (質疑参加希望者) もしくは YouTube Live 配信 (視聴のみ)
主催
国立国語研究所 共同研究プロジェクト 「消滅危機言語の保存研究」
国立国語研究所 共同研究プロジェクト 「日本・琉球語諸方言におけるイントネーションの多様性解明のための実証的研究」
参加申し込み
Zoom 参加をご希望の方は、事前登録フォームからお申し込みください。Zoom 会議の URL と会議 ID、パスワードを後日お送りいたします。
  • 研究会の様子は同時に YouTube Liveでも配信いたします。こちらはどなたでも視聴できます (視聴のみで質問は受け付けません)。
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お問い合わせ
h-oshima[at]ninjal.ac.jp ([at]を@に変えてください。)
キーワード
研究発表会・シンポジウム、オンライン開催、方言、琉球諸語、音声・音韻、語彙・意味、文字・表記、情報処理

趣旨

2022〜2028年度に行う日琉語諸方言の保存研究と、日琉語諸方言のイントネーション研究プロジェクトの共同研究員による研究発表会です。第2回目の今回は両プロジェクトの共同研究員による音声、文法、さらにはデータベース構築や言語復興に関することなど、様々な研究発表を行います。

プログラム

  • 9:00~9:10
  • あいさつ
  • 9:10~9:50 (質疑応答を含む)
  • 研究発表 「宮古語大神方言の強調辞 tu の位置づけ」
  • 金田 章宏 (千葉大学)
  • 八丈語の述語形式にみられる義務的な終助辞の位置づけを再検討し、それをふまえながら、宮古語大神方言の動詞述語形式にあらわれる強調辞 tu の位置づけを考える。結論とまではいかないが、大神方言の強調辞 tu を語形の一部とする考えを示す。
  • 9:50~10:30
  • 研究発表 「南琉球宮古語池間方言の疑問文イントネーション」
  • 五十嵐 陽介 (国立国語研究所)
  • Yes-no 疑問文に上昇調のイントネーションが用いられる言語が世界の言語の圧倒的多数を占めることが知られているが、日琉諸語には、yes-no 疑問文に上昇調の句末音調が用いられない方言が報告されており、そのような方言は東北地方、北陸地方、九州西南部、琉球列島に偏在しているという。しかしながら、琉球諸語の疑問文イントネーションに関する近年の研究成果を検討する限り、yes-no 疑問文に上昇調が全く現れない琉球語諸方言は ―もしあるとしても― 少数であり、上昇調の不使用を基本としながらも、条件によっては上昇調が用いられる琉球語諸方言が多数を占めるように思われる。このことは、yes-no 疑問文における上昇調の使用 / 不使用という二値パラメータによって諸方言を類型化することが不可能であることを示唆する。本研究では、疑問文イントネーションを二値パラメータによって類型化するために、形態統語論的疑問標識を欠く文がイントネーションによって疑問文と解釈されるいわゆる「平叙疑問文」(declarative question) の有無に基づいた類型論を提案する。南琉球宮古語池間方言を対象とした調査の結果、この方言は「平叙疑問文」を欠き、yes-no 疑問文に上昇調が現れるときは必ず文末疑問標識を伴うことが明らかになった。
  • 10:30~10:40
  • 休憩
  • 10:40~11:20
  • 研究発表 「北琉球奄美語与論島方言の対格標識 =NcjaN と他動詞目的語名詞 (句) の性格」
  • 宮川 創 (国立国語研究所)
  • 北琉球諸語の与論島方言は、沖永良部島方言や沖縄本島北部方言、伊平屋島方言などの有標主格 (・無標対格) 型言語に地理的に挟まれていながら、対格標識 =(i)NcjaN / =(i)Ncjaaを有する。発表者は、与論島方言での、明治28年から大正13年生まれの話者11人による38の昔話 (しまがたり) が収録されている『与論のしまがたり』 (菊千代著、はる書房、1985年出版) をデジタルコーパス化した。本発表では、その中で出てくる他動詞と他動詞目的語を抜き出し、対格標識の有無、目的語の定性・有生性を調べ、それらの相互関係について考察する。
  • 11:20~12:00
  • 研究発表 「学校での宮古語継承の課題に取り組む : 「一日一語みゃーくふつ」の言語実践報告」
  • 藤田ラウンド 幸世 (横浜市立大学)
  • 本発表は、沖縄県宮古島市で行った発表者の社会言語学調査の中の、学校教育に焦点を当てた研究の応用であり、現在進行中の教育実践の中間報告である。消滅危機言語の記録や言説に関わる研究はさまざまな研究者により進められているが、本研究ではどのように言語継承を具体化できるかという学校教育現場での宮古語継承の課題に取り組む。
  • ニュースピーカーとなりうる子ども期の教育現場に言語実践を取り込みためには、どのような具体的な言語教育プログラムを提案できるのか。まず、事例研究として、宮古島市内の中学校で国語教諭と協働で「一日一語みゃーくふつ」プログラムを実践することにした。2022年4月時点での、コロナ禍における学校給食の「黙食」推進を受け、給食を食べる時間を利用した給食の校内放送に加える形で、給食に関わる語彙を給食のある日に一語紹介、練習する。図書館に自主発音レッスン用 iPad を設置し、総合学習の時間での地域行事の講話など、学習につながる仕掛けも作り、一日一語をサポートする総合的な取り組みを展開している。
  • 時間割が厳密に決められた「学校」の中で、子どもたちの日々の生活の中にどのように言語実践を取り入れるか。バイリンガル教育の発想から「学校」を言語ドメインにするための言語実践の中間報告を行う。
  • 12:00~13:30
  • お昼休み
  • 藤田ラウンド先生が宮古島で作成したドキュメンタリー映像 (47分) を上映します。
  • 13:30~14:10
  • 研究発表 「熊本県の二型アクセントの音響分析 : 中南部3方言の比較から」
  • 山田 高明 (一橋大学 大学院博士後期課程)
  • 本発表では、フィールド調査によって得られたデータの音響分析の結果をもとに、熊本県内、とくに中南部地域の二型アクセントの音調実現について述べる。当該地域には、母音の広狭が音調実現に影響を与えるようなアクセント体系を持つ方言と、そうでないような方言が点在している。本発表では、そのうち、熊本県八代市坂本町平野方言 (母音の広狭の影響が見られない方言)・熊本県八代市東町年の神方言 (名詞単独形にのみ母音の広狭の影響が見られる方言)・熊本県八代郡氷川町野津方言 (名詞にさまざまな助詞が付いた環境で母音の広狭の影響が見られる方言) の3方言を対象とし、その特徴について論じる。
  • 14:10~14:50
  • 研究発表 「日本語諸方言における最小語制約の類型化に向けて : 九州方言を中心とした初期報告」
  • 松岡 葵 (九州大学 大学院博士後期課程)
  • 本発表の目的は、以下の2点である。
    (1) 福岡県柳川市方言と宮崎県椎葉村尾前方言における最小語制約に基づいた1モーラ名詞の母音延長の記述をおこなう。
    (2) 本発表による両方言の記述及び先行研究による他方言 (熊本県熊本市方言など) の記述を踏まえ、1モーラ名詞の母音延長の生じ方に通方言的な階層性がある可能性を指摘する。
  • 14:50~15:00
  • 休憩
  • 15:00~15:40
  • 研究発表 「日本の危機言語語彙データベース」
  • セリック・ケナン (日本学術振興会特別研究員)、籠宮 隆之 (国立国語研究所)、宮川 創 (国立国語研究所)、木部 暢子 (人間文化研究機構)
  • 本発表では、琉球諸語のアクセント研究を視野に入れながら https://kikigengo.ninjal.ac.jp で新しくなった語彙データベースについて紹介・解説する。
  • まず、検索のデモンストレーションを実施しながら、データベースの構造や機能について説明し、将来の拡大に関する企画についても述べる。その上で、琉球諸語のアクセント研究に関する動向とその課題について簡単に触れた後、本データベースがこれらの課題の解決に向けてどのように貢献できるかについて論じる。
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