多角的アプローチによる現代日本語の動態の解明 プロジェクトの詳細
研究目的
この共同研究は,戦後60年余 (20世紀後半から21世紀初頭) の「現代日本語」,特に音声・語彙・文法・文字・表記などの言語形式に注目して,そこに見られる変異の実態,変化の方向性,すなわち「動態」を,従来試みられることのなかった「多角的なアプローチ」によって解明することを目的とする。あわせて,現代日本語の的確な動態把握に基づき,言語問題の解決に資する応用研究分野の開拓を目指す。
国立国語研究所・時空間変異研究系のプロジェクトとして,「時間的変異」と「社会的変異」の双方の観点からサブテーマを設定し,変化して止まない現代日本語の研究に,従来の枠組みを超えた融合的な新領域を開拓する。 そのため,近接領域で類似の言語現象を研究していながら,従来は一堂に会して議論をする機会の少なかった国語学,日本語学,言語学,社会言語学など様々な背景を持つ所内外の研究者に,情報交換や相互啓発のための「場」を提供する。
研究計画・方法
この共同研究は,時空間変異研究系のプロジェクトとして,長期的な展望の下に実施する予定である。当面は平成24年度までを第1期として実施する。リーダーの相澤が,全体の総括と運営を行う。平成23年度は,前年度に引き続き,大きく次の5つの観点から,各共同研究員が設定するサブテーマを軸として,相互の連携を図りつつ,共同研究を展開していく (括弧内は,主たる担当者。越境はもちろん自由)。
- 言語変化の先端現象の把握・分析 (田中 ゆかり,尾崎 喜光)
- 戦後60年余の通時的変化の把握・分析 (金 愛蘭,新野 直哉)
- 多元的分析手法の開発 (石井 正彦,塩田 雄大)
- 新規資料の発掘・分析 (松田 謙次郎,金澤 裕之)
- 言語問題の解決に資する応用研究 (田中 牧郎,相澤 正夫)
また,上記1~4のいずれかに関連して,世論調査型の全国調査を実施する。上記4に関連して,昭和戦前期の「SP盤貴重音源資料」の文字化を進める。第1期のまとめとして作成する論文集の原稿執筆に着手する。
共同研究員 (所属)
- 東 照二
(ユタ大学) - 石井 正彦
(大阪大学) - 岡部 嘉幸
(千葉大学) - 小椋 秀樹
(立命館大学) - 尾崎 喜光
(ノートルダム清心女子大学) - 金澤 裕之
(横浜国立大学) - 金 愛蘭
(広島大学) - 塩田 雄大
(NHK放送文化研究所) - 高田 三枝子
(愛知学院大学 ) - 田中 牧郎
(明治大学 / 国立国語研究所客員) - 田中 ゆかり
(日本大学) - 南部 智史
(日本学術振興会特別研究員) - 林 直樹
(日本大学) - 前田 忠彦
(統計数理研究所) - 松田 謙次郎
(神戸松蔭女子学院大学) - 矢島 正浩
(愛知教育大学) - 朝日 祥之
(国立国語研究所) - 新野 直哉
(国立国語研究所) - 丸山 岳彦
(国立国語研究所)