形容詞節と体言締め文 : 名詞の文法化

略称体言締め文
プロジェクトリーダー角田 太作 (つのだ たさく)
国立国語研究所 言語対照研究系 教授
実施期間平成21年10月~平成24年3月
研究分野言語学
キーワード体言締め文,人魚構文,名詞,文法化,形容詞節

概要

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日本語には下記のような文がある。

(1)明日,花子が名古屋に行く予定だ
(2)外では雨が降っている模様だ

これらの文の後半は名詞述語文と同じである。 (従って,体言締め文と名付けた。) しかし,前半は後半とは違う。 (従って,人魚構文とも呼べる。) 前半は動詞述語文と同じである。

体言締め文は地理的に偏りがあるようだ。本プロジェクトの研究によって,アジアの20近くの言語と,アフリカの一つの言語に見つかった。他の地域の言語には見つかっていない。アジア・アフリカでも他の言語には見つかっていない。

(1) の名詞「予定」と (2) の名詞「模様」では,語源の意味が残っている。しかし,残っていない場合もある。例は名詞「はず」 (語源は「矢筈」) である。

(3)明日,花子が名古屋に行くはずだ

意味の面で,名詞の文法化が起こっている。

また,体言締め文の名詞が独立性を失って,接語に,更には,接辞になった例もある。形態の面でも,名詞の文法化が起こっている。

本プロジェクトでは,体言締め文の様々な側面を考察する。

共同研究員 (所属)

平成24年3月時点の所属です。

  • 家本 太郎
    (京都大学)
  • 井上 優
    (麗澤大学)
  • 梅谷 博之
    (東京大学)
  • 遠藤 史
    (和歌山大学)
  • 大角 翠
    (東京女子大学)
  • 小野 秀樹
    (東京大学)
  • 風間 伸次郎
    (東京外国語大学)
  • 片桐 真澄
    (岡山大学)
  • 加藤 昌彦
    (大阪大学)
  • 河内 一博
    (防衛大学校)
  • 北野 浩章
    (愛知教育大学)
  • 金 廷珉
    (慶一大学校)
  • 金 恩愛
    (福岡県立大学)
  • 桐生 和幸
    (美作大学)
  • 久保 智之
    (九州大学)
  • 呉人 惠
    (富山大学)
  • 児島 康宏
    (東京外国語大学)
  • 小林 正人
    (東京大学)
  • 下地 理則
    (群馬県立女子大学)
  • 白井 聡子
    (名古屋工業大学)
  • 沈 力
    (同志社大学)
  • 高橋 清子
    (神田外語大学)
  • 田口 善久
    (千葉大学)
  • 千田 俊太郎
    (熊本大学)
  • 角田 三枝
    (立正大学)
  • Heiko NARROG
    (東北大学)
  • 平野 尊識
    (山口大学)
  • Anna BUGAEVA
    (早稲田大学)
  • Andrej MALCHUKOV
    (Max Planck Institute)
  • 宮地 朝子
    (名古屋大学)
  • 八杉 佳穂
    (国立民族学博物館)
  • 米田 信子
    (大阪大学)
  • 今村 泰也
    (国立国語研究所)
  • Timothy J. VANCE
    (国立国語研究所)
  • Prashant PARDESHI
    (国立国語研究所)
  • John WHITMAN
    (国立国語研究所)

研究目的

アジア・アフリカの約20の言語の体言締め文を,主に以下の点について研究する。

(1) 体言締め文は地理的にどのように分布しているか?
(2) 体言締め文は,音韻,形態,統語,意味の点で,どのような性質を持っているか?
(3) 体言締め文は,形容詞節 (連体修飾節とも呼ぶ) と,どのような共通点と相違点があるか?
(4) 体言締め文における名詞の文法化のプロセスはどんなものであるか?

研究計画・方法

本年度は共同研究発表会を5回行う。4月,6月,10月,12月,3月である。

メンバーは共同研究発表会で研究成果を発表する。更に,共同研究発表会での討論の成果をふまえて,論文を書き直す。

予算の許す範囲で,フィールドワークも行う。

参考文献

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