このプロジェクトは平成25年10月で終了しました。今後の更新予定はありません。

複文に関する研究文献情報の検索ツール


複文に関する最新の研究成果や動向を調べるには,ジャーナルに掲載されている研究論文の情報が不可欠である。このページでは,海外で出版されているジャーナルを対象に,複文に関する研究論文の情報を収集しようとする際,そのツールとしてどのようなものが利用可能で,それをどのように使用すればよいのかを紹介する。

このページは以下のように構成されている。

  1. ジャーナル掲載論文の検索ツール
    オンラインで利用可能な,論文検索に役立つ4種類のツールを取り上げ,それぞれの特徴を簡単に記述する。また,検索ツールとして重要なポイントに基づき,各ツールの特色をまとめる。
  2. 検索方法
    紹介したツールを検索方法の観点から2つに大別し,それぞれの具体的な使用方法を説明する。
  3. サンプルリスト
    上記の検索ツール,検索方法で実際に得られた情報をサンプル (2件) として提示する。

作成 : 長辻 幸 (奈良女子大学大学院)

ジャーナル掲載論文の検索ツール

ここではまず,ジャーナル掲載論文を検索することができるツールを4つ紹介する。ツールごとにその概要を記述するとともに,利用者の観点からそれぞれの長所と短所を簡潔にまとめる。この項の最後では,各ツールの長所・短所に関わる重要なポイントに基づき,それぞれの特色を整理する。

SciVerse Scopus

学術出版社 Elsevier が提供している大規模な情報ナビゲーションツールで,5,000以上の出版社から発行される20,000タイトル以上の資料データを検索できる。20,000タイトルのうち,約500タイトルが「言語・言語学」に関するジャーナルとなっている。

  • 長所
    • ジャーナルに絞った,網羅性の高い検索ができる。
    • 検索対象となっているジャーナルを具体的に把握することができる。
      • 「言語・言語学」に関するジャーナルのタイトルはこちらを参照のこと。(ただし,このタイトルリストは人文科学全般を対象とするものであり,その一部として「言語・言語学」に関するジャーナルタイトルが含まれている。)
    • 検索結果のページから,条件を絞り込んでの再検索,当該論文の要旨へのアクセスなど,様々な機能を利用できる。
  • 短所
    • 機関登録利用となるため,所属機関を通じてしか利用できない。
  • SciVerse Scopus

British Library Direct

英国図書館 (The British Library) で最も頻繁に閲覧要請のあった20,000タイトル,論文総数にして約900万件の資料データから,過去5年以内の論文を検索できる。

  • 長所
    • ジャーナルに絞った,比較的新しい論文が検索できる。
    • 検索の網羅性が高い。
  • 短所
    • 検索対象となっているジャーナルを具体的に把握することが難しい。
    • 得られた検索結果に対し,条件を絞り込んで検索することができない。
    • 当該論文の要旨の閲覧に字数制限がかかっており,要旨全体にアクセスすることができない。
  • British Library Direct

Google Scholar

Google が提供する検索サービスの1つで,ジャーナルに掲載された論文を含め,様々な形態の学術資料の情報を検索できる。

  • 長所
    • 検索の網羅性が高い。
    • 検索結果のページから,出版社が提供する当該論文の要旨にアクセスできる。また,プレプリント版を含む,当該論文の全文にアクセスできる場合もある。
  • 短所
    • 検索結果には書籍などの情報も含まれるため,ジャーナルのみに絞った検索が比較的難しい。また,検索対象となっているジャーナルを具体的に把握することも難しい。
    • 得られた検索結果に対し,条件を絞り込んで検索することができない (ただし,出版年のみ再指定が可能)。

Ingenta Connect

出版業界向けに技術や関連サービスを提供している,Publishing Technology が運営するサイト。このサイトでは学術論文に関する情報を検索することができ,13,500タイトル,論文総数にして約450万件の情報を得られる。13,500タイトルのうち,136タイトルが「言語・言語学」に関するジャーナルとなっている。

  • 長所
    • 検索対象となっているジャーナルを具体的に把握することができる。
      → 「言語・言語学」に関するジャーナルのタイトルは こちらのページを参照のこと。
    • 検索結果のページから,当該論文の要旨にアクセスできる。
  • 短所
    • 使用するキーワードによっては,検索結果の中に主要ジャーナルの情報が含まれにくいことがある。
    • 得られた検索結果に対し,条件を絞り込んで検索することができない。

以上までで紹介した検索ツールを長所・短所に関わる重要なポイントで整理すると,以下の表のようにまとめることができる。

SciVerse
Scopus
British
Library Direct
Google
Scholar
Ingenta
Connect
機関登録による
利用制限
× × ×
ジャーナルのみを
対象とする検索
×
検索対象
ジャーナルの把握
× ×
検索の際の
出版年範囲指定
×
(過去5年以内)
×
検索後の
条件絞り込み再検索
× × ×
当該論文の
要旨へのアクセス

(部分的)
検索結果の質的・
量的安定性

(量的に多)

(量的にやや少)

検索方法

次に,上記の検索ツールの使用方法を説明する。これらのツールは,検索時にどの程度の条件指定ができるのかという点でその手順を2つに大別することができるため,ここではそれぞれの使用方法を2タイプにまとめて記述する。なお,検索手順には参考情報として「ヒント」を加え,検索をより効果的に行うための操作やツール間における差異などに言及している。

SciVerse Scopus

  1. SciVerse Scopusのトップページにアクセスする。
  2. 'Document search' タブの検索ウィンドウに調べたいキーワードを入れる。

    ヒント :

    • 特定のフレーズで検索したい場合,"relative clause" のように,フレーズの前後に引用符をつける。
  3. キーワードの検索範囲を変更したい場合は,検索ウィンドウ右横の 'Article Title, Abstract, Keywords' をクリックし,項目を選択する。
  4. 検索キーワードを追加したい場合は,'Add search field' をクリックして新しい検索ウィンドウを追加する。

    ヒント :

    • 追加したキーワードに対し,'AND','OR','AND NOT' の3つの演算子のうち,どの条件を適用するかを検索ウィンドウ左横で選択できる。
      • 'AND' : すべてのキーワードを含む。初期設定ではこの演算子が選択されている。
      • 'OR' : いずれかのキーワードを含む。
      • 'AND NOT' : この条件を適用したキーワードは含まれない。
    • 新しい検索ウィンドウを追加せず,1つ目のキーワードの後に上記の演算子を直接入力して2つ目のキーワードを加えてもよい。
  5. 出版年を限定する場合は,'Date Range' の 'Published All years to Present' で '▼' をクリックして期間を指定する。
  6. 資料の形態を「論文」に限定するため,'Document Type' の 'ALL' をクリックして,'Article' を選択する。
  7. 検索対象となるジャーナルの分野をある程度限定するため,'Subject Areas' で 'Social Sciences & Humanities' を除く,他のすべての分野のチェックを外す。
  8. 'Search' をクリックすると,検索結果が表示される。結果は出版年の最も新しいものから降順に並んでいるが,一覧の上部にある 'Sort by' の '▼' をクリックして他の条件で並べ替えることもできる。
  9. 得られた検索結果に対し,結果一覧の左側で条件を絞り込んで再検索ができる。

    ヒント :

    • キーワードを新たに追加したい場合は,'Search within results' の下にある検索ウィンドウにキーワードを入れて,'Search' をクリックする。
    • ある条件での結果の絞り込み・除外は 'Refine results' で行う。使用したい条件の項目を展開して該当するものにチェックを入れ,その条件で結果を絞り込む場合は 'Limit to' を,その条件の結果を除外する場合は 'Exclude' をクリックする。
      例 : 'Subject Area' で 'Arts and Humanities' を選択し,結果を絞り込む。
      →「言語・言語学」に分類されるジャーナルの情報により限定される。
  10. 論文タイトルをクリックすると,要旨や参考文献を含む詳細情報が表示される。また,タイトル上部にある 'View at publisher' をクリックすると,各出版社が提供している当該論文のページに移動し,全文の閲覧 (所属機関で電子版の定期購読をしている場合のみ) や購入ができる。

    SciVerse Scopus では,検索結果を様々な条件でグラフ化する分析機能 ('Analyze results') や被引用論文の表示機能 ('Cited by since 1996'),関連論文の表示・検索機能 ('Related documents') など多様な機能を利用できる。これらの機能の概要に関しては,こちらを参照のこと。

British Library Direct,Google Scholar,Ingenta Connect

  1. 各検索ツールのトップページにアクセスする。

    ヒント :

    • GS ― 検索ウィンドウ右側にある '▼' をクリックして,「Scholar 検索オプション」を表示させる。
  2. 検索ウィンドウに調べたいキーワードを入れる。

    ヒント :

    • 特定のフレーズで検索したい場合,"relative clause" のように,フレーズの前後に引用符をつける。
  3. 検索後に条件を絞り込んでの再検索ができないため,必要に応じて 'linguistics' や 'syntax','pragmatics' など,対象分野を特定するキーワードを追加する。

    ヒント :

    • BLD, IC : キーワードを追加する場合,適用したい条件に合わせて 'AND','OR','NOT' の3つの演算子を利用することができる。
      (BLDでは検索ウィンドウ左横で演算子を選択し,ICでは検索ウィンドウに直接入力する。)
    • GS : 書籍など検索対象が多岐の資料にわたるため,'journal' というキーワードをさらに追加することで,ジャーナルに関する情報への絞り込みがより効果的になる。
  4. 必要に応じてキーワードの検索範囲を限定する。

    ヒント :

    • BLD : 検索ウィンドウ右横の 'Any word' をクリックし,適用したい項目を選択する。
    • GS : 「記事全体」と書かれた部分をクリックして「記事のタイトル」を選択すると,キーワードの検索範囲が資料のタイトルに限定される。また,著者や出典,出版年をそれぞれ該当するウィンドウで限定することもできる。
    • IC : 検索ウィンドウ下部の3項目から適用したい検索範囲を選択する。また,著者や出典をそれぞれ該当するウィンドウで限定することもできる。
  5. 検索開始のマークをクリックすると,検索結果が表示される。
    • BLD : 出版年の新しいものから降順に並ぶ。
    • GS, IC : 検索ウィンドウに入れたキーワードに対して関連度の高いものから降順に並ぶ。 (GSでは資料の出版年のみ再指定ができる。ICでは一覧の上部にある 'Sort results by' の3項目から結果を並び替える条件が選択できる。)
  6. 資料のタイトル部分をクリックすると,要旨など当該論文の詳細情報が表示される。

    ヒント:

    • BLD : 'A' のアイコンにマウスポインタを移動させると要旨が閲覧できるが,字数制限がかかっているため,その全体を閲覧できない。要旨の全文を閲覧したい場合は,各ジャーナル出版社のサイトで個別に確認する。

サンプルリスト

上記のツールを複数用いて同条件で検索を行い,そこで実際に得られた結果をサンプル (2件) として提示する。各リストは得られた情報の異同が確認できるような形でまとめられている。

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