授業科目・講義概要


  科目名 講義等の概要
包括科目
(必修)
言語研究基礎論ⅢA 国語研究所の常勤教員による日本語研究の先端的トピックの輪講を行う。学生はこれを受講し、質疑に参加することで、日本語学・言語学全般にわたるバランスのとれた知識を獲得すると同時に研究という営為に対する理解を深める。各講義の内容には研究倫理に関することを含める。成績評価には出席状況と質疑における積極性を反映させる。
(オムニバス方式/全14回)
言語研究基礎論ⅢB 言語研究基礎論ⅢAに引き続き、常勤教員による日本語研究の先端的トピックの輪講を行う。各講義の内容には研究倫理に関することを含める。成績評価には出席状況と質疑における積極性を反映させる。
(オムニバス形式/全14回)
分野別講義科目
(選択科目)
言語資源学 各種コーパスについて、基本的な利用方法とともに内容の解説を行ったうえで、その設計と構築方法について講義する。具体的には、文献資料の電子化と文書構造アノテーション、話し言葉の収録と転記データ作成、音声情報のアノテーションなどのコーパスの構築に必要な知識について解説するほか、テキスト解析のための電子化辞書の設計・整備とその利用方法にも触れる。全体として、コーパスをはじめとする言語資源の構築に必要となる基礎知識を身につける授業である。
日本語情報処理 計算機上で日本語の言語資源 (辞書・コーパス・アーカイブ) を利用・分析を行うための基礎的な知識の習得を目標とする。
文字コード・ファイル形式・メタデータ・標準化・アーカイブ作成など言語資源の形式、言語学的な情報のコード化、さらに研究を進めていくうえで必要な検索・統計処理ソフトウェアについて解説をする。また、著作権・知的財産権の基礎についても解説する。授業形式は講義形式とする。
理論・対照言語学 言語理論と対照言語学 (言語類型論) について学び、それを通して日本語を分析することができるようになることを目標とする。数理言語学、認知言語学、機能言語学などの言語理論・アプローチについて一通り概観した後、その中の1つについて詳しく見ていく。取り上げるものは年度ごとに異なる。その中で、日本語と他の言語の比較を行いながら、言語の普遍性と類型性について考察する。講義形式で行うが、具体的な分析を行ってもらう。
フィールド言語学 日本語・琉球語の地域変種・社会変種を対象とし、その体系の包括的な記述あるいは社会言語学的な分析を目的とした、フィールド言語学の基礎を身に着けることを目標とする。本授業では、フィールドワークを通じた実証的な言語調査を行うために必要となる知識と技能を、講義を通じて学修する。講義で扱う項目には、調査の準備 (調査地の選定や調査票作成等)、データ収集および整理の技法、音韻、形態、統語、意味分析のための技法、研究者の倫理、研究成果の社会還元が含まれる。
応用言語学 言語学習・言語教育を中心とした言語コミュニケーション研究をめぐる応用的諸課題の解明に向け、語彙・文法・談話・運用といった言語的側面、記憶・認知・習得・情意といった心理的側面、学習者・教師の言語使用に影響するさまざまな社会的側面といった多角的な観点から、基礎となる概念や分析方法について学ぶ。受講生の関心に応じ、文献講読とディスカッション、受講生の研究目的に合った言語学習者のデータ収集法、各種ツールを利用したデータ分析手法と教材開発法などを扱う。
日本語史 文献資料を用いて日本語の歴史的変遷をとらえ分析する方法の習得を目的とする。言語データを取得するために用いる文献原本 (写本や版本) の調査方法、複製本や影印、デジタルアーカイブやデータベースの利用方法を解説する。また、文献資料から言語データを取得する技法と、そのデータの整理・分析方法についても取り扱い、記述的研究を行う上での基礎を身につける。授業形式は講義形式とする。
分野別演習科目
(選択科目)
言語資源学演習1 日本語の文献資料 (現代語のほか歴史的な資料を含む。) を対象に、言語資源の構築について実践的に学ぶ授業である。文献資料の電子テキスト化、マークアップ言語による文書構造のアノテーション、資料に適した辞書による形態素解析等を実際に行い、小規模な書き言葉のコーパスを構築する。これを通して、書き言葉コーパス構築に必要な技術を身につけ、自身の研究に必要な言語資源を構築する能力を涵養する。国立国語研究所の共同研究「通時コーパス」プロジェクトの開発現場での実習を含む。受講者は「言語資源学」 (講義) を既習であることが望ましい。
言語資源学演習2 日本語の話し言葉を対象に、言語資源の構築について実践的に学ぶ授業である。話し言葉の収録 (同意取得手続き等を含む) や収録した映像・音声データの整備、転記データの作成、音声・韻律・談話等に関するアノテーションを実際に行い、小規模な話し言葉のコーパスを構築する。これを通して、話し言葉コーパス構築に必要な技術を身につけ、自身の研究に必要な言語資源を構築する能力を涵養する。国立国語研究所の共同研究「多世代話し言葉コーパス」プロジェクトの開発現場での実習を含む。受講者は「言語資源学」 (講義) を既習であることが望ましい。
日本語情報処理演習 計算機上で日本語の言語資源 (辞書・コーパス・アーカイブ) を利用・分析を行うための基礎的な技術の習得を目標とする。
科目「日本語情報処理」で習得した知識に基づき、辞書・書記言語コーパス・音声言語コーパスを計算機上で扱う演習を行う。具体的には、辞書やコーパスの検索技術・検索結果の統計処理に関する技術の演習を行う。授業形式は演習形式とする。
フィールド言語学演習 日本語・琉球語の地域変種・社会変種を対象とした実証的なフィールド言語学に必要とされる技能を、演習を通じて涵養することを目標とする。分析対象とする言語の母語話者を演習に招き、調査票を利用して受講者が実際に対面調査を行ってデータを収集する。このデータと教員が前もって収集したデータとを用いて、データの整理・アーカイブの技法および言語体系 (音韻、形態、統語、意味) を明らかにする技法を身につける。さらに、会話データの収集、アンケート調査 (通信調査、web調査など) の技法を踏まえた上で、日常語 (vernacular) の言語データの収集・整備・分析を行うことで、言語変異・変化を明らかにする技法を身につける。
考究科目
(必修)
言語研究演習Ⅲ 国語研究所では、原則毎週火曜日午後にNINJALサロン (国語研内研究者による研究発表) ないしNINJALコロキウム (研究所外の講師による先端的研究成果に関する講演) が開催される。言語研究演習Ⅲ・Ⅳを通して2年間に15回以上、サロンないしコロキウムに出席して質疑に参加する他、NINJALサロンにおいて2回以上自ら研究発表を行うことで単位を認定する。言語研究演習Ⅲでは、入学初年次ないし2年次の学生が研究計画を発表する。授業の運営と成績評価はコーディネーターが行う。
言語研究演習Ⅳ 国語研究所では、原則毎週火曜日午後にNINJALサロン (国語研内研究者による研究発表) ないしNINJALコロキウム (研究所外の講師による先端的研究成果に関する講演) が開催される。言語研究演習Ⅲ・Ⅳを通して2年間に15回以上、サロンないしコロキウムに出席して質疑に参加する他、NINJALサロンにおいて2回以上自ら研究発表を行うことで単位を認定する。言語研究演習Ⅳでは2年次ないし3年次の学生が学位論文の進捗報告を行う。授業の運営と成績評価はコーディネーターが行う。
論文指導科目
(必修)
先端学術院特別研究ⅢA 各自固有の学術背景を活かしつつ指導教員との協働によって博士学位研究の課題を設定した上で、当該課題の研究領域における学術背景を調査し、基礎となる関連理論を理解する。実際の課題において初期的な検討を開始するとともに、課題研究を遂行するうえで必要な調査・研究手法や言語など身につける必要のある知識・技能を確認したうえで具体的な履修計画をたて、実行に着手する。
先端学術院特別研究ⅢB 研究課題をさらに拡張あるいは深化させ、関連学術領域の国際的水準に照らして十分に評価されるレベルの博士学位研究課題を設定する。設定された研究課題に対して、受講者が主体的に研究計画を作成するとともに、必要な準備等を進める。
先端学術院特別研究ⅣA 自ら設定した研究課題を関連学術領域の方法論に基づき集中的に遂行する。その上で、必要に応じて、課題の再設定や研究方向の見直しを行う。研究計画通りに進捗が見られない場合には、その問題点を合理的に整理し、問題解決に道筋をつける。
先端学術院特別研究ⅣB 集積した成果を演習等で発表することで、多角的で独創的な議論を展開することを目指す。また博士学位研究の全体を構想するとともに、各自の研究成果の周辺領域や社会における学術的意義付けを理解する。
先端学術院特別研究ⅤA ここまでに集積してきた研究成果が自身の研究領域にもたらす新たな価値を理解し、その向上に資するさらに先導的・先進的な研究を推進する。本講までに自身の研究領域の学術論文あるいは共同研究会・シンポジウム・学会などにおいてその成果を発表し、周辺学術領域からの客観的な評価を得ることを目安とする。
先端学術院特別研究ⅤB 博士学位論文の作成に集中的に取り組み、作成上必要なデータの整理や文献の調査を実施する。さらに学位論文を補強する研究データの獲得に取り組む。論文作成においては論理的記述手法や論文作成上の学問倫理を習得する。
その他
(選択)
英語発信力実習 「英語力発信実習」という科目は、科学的方法や論理関係を出発点として、英語での分かりやすい、そして説得力のある論述ができるように、実力を高めることを目標としている。国際的に通じる論法の立て方、印象に残る研究発表のコツ、質疑応答の運び方など、自信をもって視聴者の前に立つためのスキルを養成していく。言語学の諸分野における基礎概念を説明するための練習については、見本となる英語の学術論文やビデオを見ていく。オンライン授業ではあるが、受講生にはディスカッションへの積極的な参加を期待している。最終的に各自の研究についての Powerpoint プレゼンテーションを計画している。

Ⅲは博士後期課程1年目、Ⅳは2年目、Ⅴは3年目が配当年次

投稿をシェアする
note