このプロジェクトは平成25年9月で終了しました。今後の更新予定はありません。
日本語変種とクレオールの形成過程 プロジェクトの詳細
研究目的
本研究は,アジア・太平洋の各地 (台湾・パラオ・マリアナ諸島・サハリン・中国東北部など) を対象としたフィールドワークによって,それぞれの地域における日本語変種,およびクレオールの実態を明らかにすることを目的とし,以下の課題を推進する。
- さまざまな日本語変種の調査記述を進め,言語接触論の展開 (「接触日本語学」の樹立) に資するデータを提供する。
- 第二言語の維持という事象を総合的に捉えるための研究基盤を確立する。
- 日本語に基づいたクレオール研究の新しい地平を開く。
そして,研究の成果を特に海外に向けて発信することをプロジェクトの第一目標とする。
研究計画・方法
メンバーはいずれも社会言語学,接触言語学を専門分野とする研究者であるが,さらに国内外の研究者と連携しつつ研究を進める。
役割分担
- 真田は,全体の統括をするとともに,日本語変種および日本語を上層とするクレオールの総合的記述をめざす。
- ロングは,マリアナ諸島,およびパラオでのフィールドワークを基に,言語接触によって生じた日本語変種の分析を進める。
- 簡は,台湾での日本語変種研究を集大成する。また,宜蘭クレオール (Yilan Creole) の調査と分析を進める。
- 水野は,中国東北部を主とするフィールドワークを基に,言語接触によって生じた日本語変種の分析を進める。
- 張は,中国東北部 における日本語がかかわる言語景観の分析を進める。
- 全は,朝鮮半島出身者の調査とともに,中国東北部からの帰還者たちの言語生活の実態を記述・考察する。
- 朝日は,サハリンならびに北海道でのフィールドワークとともに,サハリン,クリル列島からの帰還者たちの言語生活の実態を記述・考察する。なお,朝日は当該プロジェクトの推進に当たっての事務局業務を担当する。
- 鳥谷は,主としてデータベースの構築にかかわる業務を担当する。
研究計画
- 平成21年度 : 準備的調査,研究報告会 (方針確認)
- 平成22年度 : 実地調査,研究報告会,海外での公開シンポジウムの開催 (於サイパン),資料集の刊行
- 平成23年度 : 実地調査,研究報告会,海外での国際研究集会での発表,資料集の刊行,研究成果書の刊行
- 平成24年度 : 実地調査,海外での公開シンポジウム・研究報告会の開催 (於パラオ・中国),研究成果書の刊行
- 平成25年度 : 補充的調査,研究報告会 (総括),英文による研究成果書の刊行
研究成果
本研究にかかわる研究成果 (刊行書) には,次のものがある。
資料集
- 真田信治編 『ミクロネシア・サイパン残存日本語の談話データ』
(国立国語研究所・真田信治,平成23年3月) - 真田信治・朝日祥之・金美貞編 『サハリンに残存する日本語の談話データ』
(国立国語研究所・真田信治,平成24年2月)
著書
- 簡月真著,真田信治監修 『台湾に渡った日本語の現在 ―リンガフランカとしての姿―』
(明治書院,平成23年9月) - ダニエル・ロング/新井正人著,真田信治監修 『マリアナ諸島に残存する日本語 ―その中間的言語的特徴―』
(明治書院,平成24年4月) - 朝日祥之著,真田信治監修 『サハリンに残された日本語樺太方言』
(明治書院,平成24年10月) - Daniel Long & Keisuke Imamura with assistance from Masaharu Tmodrang, Shinji Sanada, Supervising Editor "The Japanese Language in Palau."
Printed and Distributed by Shinji Sanada 2013.9 [ PDF | 4.57MB ]
共同研究員 (所属)
平成25年9月時点の所属です。
- 簡 月真
(国立東華大学) - 張 守祥
(佳木斯大学) - 全 永男
(延辺大学) - 鳥谷 善史
(天理大学) - 水野 義道
(京都工芸繊維大学) - Daniel LONG
(首都大学東京) - 朝日 祥之
(国立国語研究所)