日本語疑問文の通時的・対照言語学的研究 プロジェクトの詳細
研究目的
時空間変異研究系では,空間的変異の研究は進んでいるが,時間的変化の研究は未だ十分でなかった。この点に鑑み,本研究では日本語を中心として時間的変異と空間的変化の両方をつなぐような研究プロジェクトの構築を目指す。そのために,疑問文という日本語研究の中でも必ずしもバランスのとれた研究が進んでいない領域を取り上げ,歴史的研究の充実を目指すとともに,空間的変異研究との連携の活性化をめざすものである。また疑問文にとって関連の深い名詞節の研究を取り上げている,言語対照研究系の「日本列島と周辺諸言語の類型論的・比較歴史的研究」との連携も深めていく。
具体的成果物としては,テーマに関わる論文集の刊行を目指す。
研究計画・方法
本研究は,理論面と実証面,およびその統合という形をとる。
理論面では,日本語疑問文の統語構造について検討を深める。現代語では,間接疑問文と直接疑問文,ノダ文と非ノダ文との違いに特に着目する。また歴史的資料については,係り結びを作る疑問文と作らない疑問文について,その違いを反映した構造を考える。この研究には,金水,三宅,外池が当たる。
実証面では,仮定された構造が言語資料の状況をうまく説明するかどうかという点について,関連する言語データに基づいて検討する。その際,BCCWJおよび歴史コーパスを活用していく。また適宜,方言研究や諸言語のフィールドワークの成果を参照し,また研究交流を深めていく。この作業には,金水・三宅 (現代日本語),日本語の歴史的資料 (金水・岩田),井上 (中国語・韓国語),外池 (チャモロ語・パラオ語等南東諸語),岡山方言 (三宅),富山方言 (井上) が連携して当たる。
両者の統合としては,仮定された統語構造が歴史的変化や空間的変異の創出をどのように説明できるかということを,総合的に検討していく。
共同研究員 (所属)
- 有田 節子
(立命館大学) - 井上 優
(麗澤大学) - 岩崎 勝一
(ハワイ大学マノア校) - 岩田 美穂
(就実大学) - 江口 正
(福岡大学) - 衣畑 智秀
(福岡大学) - 金水 敏
(大阪大学) - 黒木 邦彦
(神戸松蔭女子学院大学) - 志波 彩子
(名古屋大学) - 高山 善行
(福井大学) - 竹村 明日香
(お茶の水女子大学) - 張 麟声
(大阪府立大学) - 鄭 聖汝
(大阪大学) - Christopher DAVIS
(琉球大学) - 外池 滋生
(青山学院大学) - 富岡 諭
(デラウェア大学) - 西垣内 泰介
(神戸松陰女子学院大学) - 日高 俊夫
(九州国際大学) - 三宅 知宏
(鶴見大学) - 村杉 恵子
(南山大学) - 森 勇太
(関西大学) - 矢島 正浩
(愛知教育大学) - 吉村 大樹
(アンカラ大学) - Kerri RUSSELL
(オックスフォード大学) - 長崎 郁
(国立国語研究所) - John WHITMAN
(国立国語研究所)