コミュニケーションのための言語と教育の研究 プロジェクトの詳細
研究目的
日本語能力は現実のコミュニケーションの観点から「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つの能力に分けられる。しかし,非母語話者の日本語能力についての研究は,これまではこの4つを明確に分けず,語彙に関する能力や文法に関する能力というように伝統的な言語学の分類に従って進められることが多かった。
この共同研究プロジェクトでは,「聞く」「話す」という話しことばに関する能力と,「読む」「書く」という書きことばに関する能力を分け,また,「聞く」「読む」という理解能力と,「話す」「書く」という使用能力を分けて非母語話者の日本語能力を研究する。特に研究方法の開発が遅れていて,これまで研究が盛んではなかった「聞く」「読む」という理解能力に焦点を当て,非母語話者の理解過程や理解困難点を解明することを目的とする。
日本語教育研究・情報センターでは日本語非母語話者のコミュニケーション能力を明らかにすることを大きな課題の一つとしているが,この研究は現実のコミュニケーションの中での非母語話者の日本語能力を解明するという新しい方向性を持ったものになっている。
研究計画・方法
研究方法
日本語非母語話者の日本語能力についてデータを収集し,分析する。特にこれまであまり研究が行われてこなかった話しことばと書きことばの理解過程や理解困難点を中心にする。非母語話者の理解能力についての研究では,それぞれの人が聞いたり読んだりする必要があるものを聞いたり読んだりしてもらい,理解した内容を母語で詳しく話してもらったり,内容に関する質問に答えてもらうインタビュー調査を基本とする。
研究組織と主要メンバーの役割分担
話しことば班,書きことば班,評価班の3つを設ける。中心メンバーは次のとおりである。
- 話しことば班
柴田 智子,中山 英治,島津 浩美,小室 リー 郁子,萩原 章子 - 書きことば班
桑原 陽子,丹羽 順子,穴井 宰子,花田 敦子,村岡 貴子 - 評価班
宇佐美 洋,田中 真理,林 さと子,工藤 育子
申請メンバー間の研究に関する今までの連携状況
話しことば班と書きことば班は,リーダーの野田がそれぞれ研究分担者と研究代表者になっている科研費の研究協力者が主要メンバーになっている。また,評価班は,これまでこのメンバーで社会における相互行為としての「評価」研究をしてきている。いずれも十分な連携ができている。
研究計画
- 平成25年度 : 話しことば班での研究方法の開発,書きことば班・評価班での調査・分析など
- 平成26年度 : 3班での調査・分析,書きことば班・評価班での成果発表など
- 平成27年度 : 3班での調査・分析,成果発表,公開シンポジウム開催など
共同研究員 (所属)
- 穴井 宰子
(オックスフォード・ブルックス大学) - 太田 亨
(金沢大学) - 生越 直樹
(東京大学) - カノックワン ラオハブラナキット 片桐
(チュラーロンコーン大学) - 桑原 陽子
(福井大学) - 阪上 彩子
(大阪大学) - 定延 利之
(神戸大学) - 柴田 智子
(プリンストン大学) - 島津 浩美
(神戸大学) - 白石 実
(バルセロナ自治大学) - 蘇 文郎
(國立政治大學) - 中島 晶子
(パリディドロ第7大学) - 中俣 尚己
(京都教育大学) - 中山 英治
(大阪産業大学) - 村岡 貴子
(大阪大学) - 村田 裕美子
(ミュンヘン大学) - 石黒 圭
(国立国語研究所)