日本語の大規模経年調査に関する総合的研究 プロジェクトの詳細
研究目的
鶴岡第4回調査は,2012年春に終了するが,その電子化とデータベース化は,これからの仕事である。また国立国語研究所の以前の鶴岡・岡崎・富良野などの定点・経年調査による結果も,すべてデータベース化する必要がある。本研究の目的は,これらのデータベース・各種言語資料を高度学術利用することにより,現代日本の地域社会における言語使用・言語意識の実態を記述するとともに,言語の変化と将来予測に関する実証的な研究を行うことにある。また国際的発信,業績紹介にも配慮する。
研究計画・方法
国立国語研究所が保有する言語調査のデータ・資料を分析し,理論的・実証的研究を展開するため研究メンバー全員が参加する「 (1) 全体研究会」を開催する。また,必要に応じて (2) 分科会として「データベース化検討会」「数量化分析研究会」「経年変化研究会」を組織してプロジェクトを円滑に遂行する。国内の学会や国際会議などで積極的に発表して,成果を問うとともに,各地で一般向けの講演会などを開いて,地元への成果還元を心がける。
(1) 全体研究会
研究メンバー全員が参加する全体研究会2回程度開催し,データの分析結果の報告や新たな理論枠の提唱などを行う。たとえば,パネルサンプル (同一人物の追跡調査) のデータが約50年間でどう変化したかを分析することにより,言語変化に及ぼす加齢や生涯発達の効果を検討する。
(2) 分科会
データベース化検討会
分析のためのデータを整備し,データベースとして一般に公開する手法を検討する。数量化分析研究会:林知己夫氏 (統計数理研究所元所長) による数量化Ⅱ類,数量化Ⅲ類,および荻野綱男氏開発の「交互平均法 (荻野の数量化) 」を適用する。
経年変化研究会
特に過去の調査との対比に重点を置き,半世紀以上 (生年でいうと百数十年) のタイムスパンで起こった言語変化の理論的位置付けについて,考察を深める。なお「日本言語地図」「方言文法全国地図」のデータとも照合して,地理的観点からも位置付ける。これにより,近代日本の言語変化を地理的・歴史的 (空間的・時間的) 観点から,総合的に把握することができる。
これらの研究会メンバーは大部分岡崎および鶴岡の実地調査に携わった経験があり,かつ数量的分析にもたけている。国内外の学会での発表にも積極的に参加する活発な人材である。
共同研究員 (所属)
- 阿部 貴人
(専修大学) - 尾崎 喜光
(ノートルダム清心女子大学) - 高丸 圭一
(宇都宮共和大学) - 竹田 晃子
- 田中 ゆかり
(日本大学) - 辻 加代子
(神戸学院大学) - 中村 隆
(統計数理研究所) - 西尾 純二
(大阪府立大学) - 半沢 康
(福島大学) - 彦坂 佳宣
(立命館大学) - 前田 忠彦
(統計数理研究所) - 松田 謙次郎
(神戸松蔭女子学院大学) - 松丸 真大
(滋賀大学) - 水野 義道
(京都工芸繊維大学) - 村上 敬一
(徳島大学) - 米田 正人
(統計数理研究所) - 佐藤 亮一
(国立国語研究所名誉所員) - 杉戸 清樹
(国立国語研究所名誉所員) - 横山 詔一
(国立国語研究所)