文字環境のモデル化と社会言語科学への応用

略称文字と社会言語学
プロジェクトリーダー横山 詔一 (よこやま しょういち)
国立国語研究所 理論・構造研究系 教授
実施期間平成21年10月~平成28年3月
研究分野日本語学,認知科学,統計科学
キーワード文字,言語生活,学習・記憶・思考,行動計量分析

概要

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パソコンや携帯電話で文字を打つとき,私たちは「桧-檜-ヒノキ-ひのき」のような変換候補から1つの表記を瞬間的に選択している。では,どの文字表記が選択されやすいのかを,確率理論などで数量的に予測することは可能なのだろうか。このような問題意識のもと,日本語の文字表記について,日本語学の知見に加えて,認知科学,計量経済学などの優れた発想・理論も参照しながら研究を展開し,文字環境 (文字レキシコンを含む) の質的・量的モデルを作成する。 また,この文字環境モデルは,敬語の経年変化や,地域社会で進行中の共通語化などの研究にも応用できる。とりわけ,愛知県岡崎市の敬語研究や,山形県鶴岡市の共通語化研究については,統計数理研究所や研究情報資料センターと連携しながら検討を行い,言語変化理論の統計的検証を目指したデータ整備を進めて,社会言語科学や計量言語学の発展に寄与する。その成果は,言語習得研究のほか,脳科学や老年学研究にも新たな地平を拓く可能性があり,既存の分野の枠を超えた学際領域の創出につながるものと期待される。 (なお,本研究は学問領域の創成又は既存の分野の枠に収まらない学際領域を融合することを目指している。)

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