このプロジェクトは平成24年9月で終了しました。今後の更新予定はありません。
訓点資料の構造化記述 プロジェクトの詳細
研究目的
本研究は,(1) 原本調査に基づいて,解読結果である釈文の構造化記述の方法を検討し,(2) 釈文と原本デジタル画像とを対照表示できるシステムによって,研究者間で相互に利用でき,原本画像に遡った検証が可能なデジタル釈文のプロトタイプを作成する。
また,韓国の口訣資料を扱う研究者との共同研究によって,研究方法や資料共有について知見を交換するとともに,漢文訓読の日韓対照研究の可能性を探ることも視野に入れる。
研究計画・方法
本研究は,(1) 原本書誌調査,(2) 解読結果の記述 (釈文の作成),(3) 解読結果の共有化の三段階で進める。
(1) 原本書誌調査 (高田,小助川)
漢文訓点資料の年代や資料的価値を見極めるため,料紙,角筆点の有無など原本でしか把握し得ない書誌情報の調査を行う。本研究は,釈文と原本画像の共有化 (公表) を目的とするため,権利関係の処理が容易であると予測される国立国語研究所図書館蔵『金剛頂一切如來眞實攝大乘現證大教王經卷第一』 (院政期加点) を資料とする。
(2) 解読結果の記述 (小助川,呉,朴,渡辺,高田)
訓点資料は,書写者による漢文本文 (本行) と注釈 (双行注),加点者によるヲコト点,仮名注,声点などの訓点を含み,構造を持っている。また,訓点は,加点の層 (加点年代,加点順序) を反映する朱・墨・白など訓点の色,点の形状 (星点,圏点,線点など) ,和訓や字音 (声点,反切,類音注,仮名音注) などの加点内容によって分類できる。これらを構造言語で記述する方法を検討するため,随時研究会を行う。必要に応じて原本確認も行う。
(3) 解読結果の共有化 (高田,朴,當山,岡本)
韓国での訓点資料 (口訣資料) 研究では,資料の電子化や共有化が進んでいる。韓国の研究環境を参考に,デジタル釈文のプロトタイプ作成を行う。なお,コンピュータ利用による漢文文献の索引作成や,歴史学における典籍・文書の翻刻システムの知見も活用する。
共同研究員 (所属)
平成24年9月時点の所属です。
- ALBERIZZI Valerio Luigi
(早稲田大学) - 呉 美寧(韓国・崇実大学)
- 小助川 貞次(富山大学)
- 田島 孝治(岐阜高専)
- 當山 日出夫(立命館大学)
- 朴 鎭浩(韓国・ソウル大学)
- 渡辺 さゆり(札幌大学)
- John WHITMAN(国立国語研究所)