このプロジェクトは平成25年10月で終了しました。今後の更新予定はありません。
日本語教育のためのコーパスを利用したオンライン日本語アクセント辞書の開発 プロジェクトの詳細
研究目的
本研究は,日本語音声教育の発展に寄与することを目的とする。学習者は上級になるほど自然なアクセント・イントネーション習得を望んでいるが,従来体系的な教育が多くの機関で行われず,教材が不足し,教授法が未確立である。我々は,少なくとも共通語 (東京方言話者の) アクセントに関する情報を学習者に与えるべきとの立場に立ち,アクセント教育を支援する。なお既存のアクセント辞書は,辞書形のアクセント型が主たる記述で,アクセント変形は規則の例示があるのみで学習者にとって理解しにくく,また高価である。更には,海外における日本語教育の従事者は約7割が非母語話者であり,音声面での教師支援も重要な課題である。本辞書は東京方言話者ではない母語話者,非母語話者教師自身の参照用としても有用である。本辞書は規範となるアクセント情報を提供するが,アクセントは揺れを有するのも事実である。日本語話し言葉コーパスを用いた揺れの実態調査や,東京方言話者を対象にした揺れのアンケート調査を行ない,辞書記載に反映させる。また,アクセント変形の規則化・モデル化に関しても,機械学習を用いた高精度なモデリングを研究・実装し,辞書記載に反映させる。
研究計画・方法
本研究は,1) 統括班,2) 教育実践班,3) 技術開発班,4) 基礎研究班から構成される。2) 教育実践班の代表は,中国の大学にて専任の日本語講師として勤務しており,2010年9月学期から,学年主任として,初級の文型導入時に平行する形でアクセント教育を導入した。今年度は,教科書に沿った紙ベースの副教材を用いたが,次年度以降,下記に示すオンラインアクセント辞書を作成し,これを利用する。3) 技術開発班の代表は辞書システム開発を担当し,1) 統括リーダーの研究室サーバを利用してシステムを運用する。現在までに Web辞書の骨格を開発している。現状のシステムは人手で全ての情報を指定しているため,UniDic を使用し,Webコンテンツの準自動作成を検討する。こうすることで,他教科書・他書籍をも対象とし,特に活用語のアクセント変形の様子を各教科書に沿って,網羅的に,示すことが可能となる。この場合,アクセント結合を高精度に予測する必要があるが,このモジュール開発は1) 総括班が担当する。また,4) 基礎研究班は,BCCWJコーパスを用いて,教科書に使われている文型の教育的妥当性,及び,日本語話し言葉コーパス (CSJ) を用いて,アクセントの揺れについて調査する予定である。これらのデータベース検索ツールは技術開発班の方で開発するが,必要に応じてアンケート調査も検討する。
プロジェクトリーダー
平成25年10月時点の所属です。
峯松 信明 (東京大学) 総括班
共同研究員 (所属)
平成25年10月時点の所属です。
- 田川 恭識 (早稲田大学)
- 中川 千恵子 (早稲田大学) 基礎研究/教育実践班
- 中村 則子 (慶応義塾大学) 基礎研究/教育実践班
- 橋本 浩弥 (東京大学) 技術開発班
- 平野 宏子 (東北師範大学 (中国) )
- 広瀬 啓吉 (東京大学) 技術開発班
- 水上 智之 (東京大学) 技術開発班
- 前川 喜久雄 (国立国語研究所)