第1回 宮地裕日本語研究基金 受賞者 (令和4年度募集)

国立国語研究所 宮地裕日本語研究基金 学術賞
  • 該当者なし
国立国語研究所 宮地裕日本語研究基金 学術奨励賞
  • 氏名 (所属) : 秋田 喜美 氏 (名古屋大学)
    研究業績 : 秋田 喜美 著『オノマトペの認知科学』 (新曜社、2022年)
    授賞理由 :
    本書では、音象徴の中にオノマトペを位置付けたうえで、その定義、機能、意味・構造・用法、起源、言語獲得における役割など、オノマトペの諸相を平易な日本語で解説している。初学者にも分かりやすい概説書の体裁を取りながら、申請者のこれまでの研究成果を随所に織り交ぜており、研究書としても評価できる。またこれまでの日本語オノマトペに関する論考の大半が日本語だけを視野に入れたものであったのに対し、秋田氏の研究は他の言語との対照という一般言語学的な視点を持っており、日本語のオノマトペを世界の言語のオノマトペと相対化させ同じ土俵で論じようとしている点でも優れている。今後の発展性も秘めており、学術奨励賞にふさわしい業績であると判断した。

  • 氏名 (所属) : 菊地 恵太 氏 (宮城学院女子大学)
    研究業績 : 菊地 恵太 著『日本略字体史論考』 (武蔵野書院、2022年)
    授賞理由 :
    本書は日本語における漢字の「略字体」についての初めての専書であり、日本語史研究の中でも重要な位置を占めるものである。位相論的観点、特に仏家・非仏家の対立から略字体使用の状況を分析することで新たな整合的解釈を得ていることや、また略字体史の段階モデルの提案がなされていることなどが高く評価できるだけでなく、「抄物書き」といわれる特殊な略字の概要も詳しく探求されており、中世日本語の表記史研究について今後欠くことのできない書物となると考えられる。申請者の研究歴の浅さに比して高い学的水準に達しており、学術奨励賞にふさわしいものと結論づけた。
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