隠岐の島フィールドワーク

フィールドワークの概要

国立国語研究所「日本の消滅危機言語・方言の記録とドキュメンテーションの作成」プロジェクトと人間文化研究機構広領域連携型プロジェクト「方言の記録と継承による地域文化の再構築」では,2016年11月3日から6日に島根県隠岐の島町で調査を行いました。

国立国語研究所では,消滅の危機に瀕した言語・方言の記録を作成するために,これまでも沖縄県喜界島,同与論島,沖縄県久米島,東京都八丈島などでフィールドワークを行ってきました。2014年度からは日本本土方言の調査を進めており,2014年度は出雲,2015年度からは隠岐の島方言の調査を行っています。2016年度は隠岐の島町の中村地区と都万 (つま) 地区の調査を行いました。

今回の調査では,若手研究者育成と,地元の大学との教育上の連携も大きな目的のひとつと位置づけました。まず,今後の方言研究を担うフィールドワーカーを育成するために公募を行い,選考を経た3名の大学院生を調査に帯同しました。また,地元島根大学の学生8名も参加しました。調査の経験がない学生が大半であったため,言語調査に関する事前研修も行いました。

事前研修

10月22日と23日,島根大学において,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の LingDy3 (「多言語・多文化共生に向けた循環型の言語研究体制の構築」) プロジェクトとの連携のもと,事前研修を行いました。

事前研修プログラム

  • 1日目 (14:00~18:00)
    • 調査の概要 (調査の流れ,調査票の説明,調査説明書・同意書・フェイスシートの説明)
    • 隠岐方言の概要 友定 賢治 (県立広島大学 名誉教授)
    • 録音実習 児倉 徳和 (東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
  • 2日目 (9:00~13:00)
    • 隠岐の島方言の聞き取り実習 木部 暢子 (国立国語研究所)
    • 談話の収集について 中山 俊秀 (東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)

事前研修の様子


友定先生による講義「隠岐方言の概要」


録音実習の様子
2,3名の班に分かれて,実際に機材を使って自分たちの声を録音しました。
他の班の音声が入らないよう,位置を工夫するなどしながら実習を行いました。

昨年度の調査で得られた録音資料を聞き,書き取りの実習

中山先生の講義「談話の収集について」

フィールドワーク

11月3日から6日,隠岐の島町教育委員会の協力のもと,フィールドワークを行いました。4日は中村地区,5日は都万地区にお邪魔しました。

  • 調査項目 : 基礎語彙,アクセント,用言の活用

「野菜の畑」のことは「しゃんやま」と言う,とか,「書こう (と思っている) 」は「かかー」と言う,などなど,たくさん隠岐の島のことばを教えてもらいました。調査結果は2017年度に公開する予定です。




中村地区での調査の様子


都万地区での調査の様子

「山陰中央新報こども新聞週刊さんいん学聞」でとりあげられました。

市民講演会「隠岐の島方言のつどい」

今回の調査結果も含んだ隠岐の島方言に関する講演会を開催しました。

  • 日時 : 2016年12月10日 (土) 14:00~16:00
  • 場所 : 隠岐島文化会館
  • 主催 : 隠岐の島町教育委員会,国立国語研究所

プログラム

  • 「使えるかもしれない隠岐弁講座」 吉井 重伸,坂本 忠司
  • 「隠岐方言の特徴―合同調査の報告を兼ねて」 平子 達也 (駒澤大学 講師)
  • 「隠岐弁の魅力」 県立広島大学名誉教授 友定 賢治 (県立広島大学 名誉教授)